資産運用

2023.04.19

基本のバフェットと応用のソロスに学べ。投資の「免許」を取って、事故知らずに

ウォーレン・バフェット

リスクを負いながら未来を予測して投資し、出資者にリターンを還元する──。機関投資家という職業は難儀なものだ。だがそうした職業だからこそ、先行き不透明な現代を生きる私たちに多くのヒントを与えてくれる。

資産運用会社スパークス・グループでは、社内勉強会「バフェット・クラブ」で、有名投資家や経営思想家について研究してきた。同社の阿部修平CEOをナビゲーターに、世界の賢人たちの知見を紹介しよう。

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宇宙から俯瞰したときに見える、地球の上を流れる「資本の川」が向かう先はどこか──。

資産運用会社スパークス・グループの阿部修平CEO(68)は、新たな成長領域を見つけたとき、「お金が川のように流れ出したように見えた」と語る。

スパークスは、トヨタ自動車や三井住友銀行と組む「未来創生ファンド」を通じ、注目のeVTOL(電動垂直離着陸機)である米ジョビー・アビエーションに出資するなど、時代を先読みしながらビジネスの潮流を踏まえた投資をしてきた。同社を率いる阿部は、多くの有名投資家たちと直に話すことで自身の投資哲学を磨いてきたが、そのなかでも特に大きな影響を受けた投資家が2人いるという。

1人目が、ウォーレン・バフェット(92)だ。阿部は、スパークスを創業して以来、“オマハの賢人”に敬意を表して「バフェット・クラブ」という名の社内勉強会を催してきた。そこでは、投資家や経営者、ビジネス思想家を題材に社員と日々、議論を重ねている(名称については18年にバフェットに会った際、本人に“お墨付き”をもらっている)。

2人目が、ジョージ・ソロス(92)である。若かりし頃の阿部は1980年代に、彼に3年間にわたって資産運用を任された経験をもつ。仕事に対する厳格さでも知られるソロスについて、「『おまえはプロとしてはまったく不十分だけれど、オレのところにいるのはおまえだけだからな』とよく言われた」と、阿部は苦笑いしながら振り返る。

とはいえ、同じ投資家でも、バフェットとソロスとでは投資領域も哲学もかなり異なる。

米国の投資理論の前提として、「証券を支えている主体の価値を見抜く」という考えがある。投資家は、株式や債券であれば企業、国債であれば国という“主体”がもつ本質的な価値をもとに、それらが発行する株式や債券の価格が市場価格よりも安ければ投資機会があると考えて投資する。

これを、コカ・コーラやディズニーといった会社を対象に、長期にわたってやり続けて成功したのがバフェットだ。加えて彼は、元本の安全性を守るための「安全余裕率」も重視している。儲かるためには、まずは損をしない。これがプロの資産運用における基本的な考え方である。

阿部もそう教わっていた。だが、「その“思い込み”を変えてくれたのがソロス」だと話す。
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文・インタビュー=フォーブス ジャパン編集部

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