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2023.04.07 12:00

米国の資産525兆円、その多くがタックスヘイブンに隠されている

Getty Images

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米国納税者のうち、ひと握りの超富裕層が、数兆ドル(数百兆円)もの資金を国外の口座に預けており、そのかなりの部分が「パートナーシップ」を経由してタックスヘイブン(租税回避地)に置かれていることが、新たな研究で判明した。国外の金融機関から米内国歳入庁(IRS)に寄せられたデータを基にした研究だ。

2015年以降、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の定めにより、銀行や投資ファンドをはじめとする米国外の金融機関は、米国への納税義務者が管理する口座について、その情報をIRSに報告するよう義務づけられている。このFATCAの下でIRSに報告された機密データを用いて今回の研究を行ったチームは、2018年の時点で、米国納税者のうち約150万人が国外の口座に資金を預けており、その総額はおよそ4兆ドル(約525兆円)に上ると推計している。報告されている米国の金融資産の総計である約80兆ドル(約1京500兆円)の約5%にあたる金額が、こうした国外の口座に預けられている計算だ。

国外に口座を持つ人々

国外に口座を持つ米国人は、まったく異なる2つの集団からなることが、研究で判明した。そのうち大多数は、米国にやってきた移民か、国外で働いている米国人だ。こうした人たちの口座残高は比較的少額であり、口座が置かれている場所も、租税回避地であることはめったにない。

しかし、国外にあるマネーのほとんどは、非常に裕福なひと握りの納税義務者が保有管理している。これらはしばしば、スイスやルクセンブルク、ケイマン諸島といった租税回避地に置かれた口座とのパートナーシップを経由している。

2018年時点で見ると、国外口座のうち、低税率あるいは非課税の国(租税回避地)に置かれた国外口座は全体の14%にすぎない。だが、これらの口座に預けられている金額は、研究対象となった国外資産の約半分、金額にして2兆ドル(約260兆円)近くに達する。

米国の裕福な投資家は、租税回避地に法人や信託を設立することで、米国での課税を回避できる。租税回避地の税率は低く、投資所得に課される米国の税金は、おおむね源泉徴収方式を採用していないためだ。

オフショア資産を所有している層は、少数の超富裕世帯に集中している。所得が全体の上位1%に入る層では、おおむね5世帯に1世帯が国外に資産を持っている。さらに上位0.01%になると、この割合は60%以上に跳ね上がる。そして、このごく少数の世帯が、国外口座に置かれている資産のうち3分の1を所有している状況だった。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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