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2023.04.10 13:15

男性の育休取得状況いまだ伸び悩み 当事者意識の欠如か

リリースベース(松村)

Getty image

2022年4月、育児・介護休業法が改正され、男性が育児休暇を取りやすくする取り組みが段階的に進められてきましたが、現実はなかなか厳しいようです。女性が働きやすい社会の実現を目指す「しゅふJOB総研」が行った調査では、この1年間で何も変化を感じないという女性が6割強にのぼりました。 

ビースタイルグループが運営する「しゅふJOB総研」は、ビースタイル「スマートキャリア」および求人サイト「しゅふJOB」に登録している554人の女性を対象に調査を行いました。それによると、昨年の育児・介護休業法の改正について知っている人は、「ある程度知っていた」人を含めて75.3パーセントと関心が高いことがわかりました。

男性も育休を取得すべきだと考える人は、「かならず」が20パーセント、「状況によって」が71.8パーセントと、9割を超えています。当然のことながら、子どもが多いほどその比率は高くなっています。ところが、法改正後に状況に変化があったかを尋ねると、「変化を感じたことは何もない」が62.6パーセントと突出しており、2位の「男性の育休取得者が増えた」(15.1パーセント)を大きく上回りました。

育児・介護休業法の改正内容は以下のようになっています。

 1. 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み『産後パパ育休』の創設
 2. 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
 3. 育児休業の分割取得
 4. 育児休業の取得の状況の公表の義務付け
 5. 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
 6. 育児休業給付に関する所要の規定の整備(雇用保険法)

ただし、1と3は10月から、4は今年の4月からの施行となっているので、まだ本格的に動いているとは言えません。とは言え、「待ってました」とばかりに男性がこぞって育休を取るという雰囲気でもなさそうです。育休制度はあっても休みにくい空気があったり、育休によって収入が減ってしまうといった、法の理念と現実のギャップについてはよく耳にしますが、調査参加者のコメントからは、もっと根深い問題が見てとれます。

育休を「取得しても休みだと勘違いしている男性もいて、かえって手間が増えた」、「男性が数週間育休を取ったところで何の役にも立たず職場に迷惑をかけるだけ」、「家事や子育てができない、やらないなら育児休業で家にいるなんて邪魔なだけ」、「俺がやると泣くから~など、言い訳して結局やらないなら仕事していてほしい」と、男性の親としての絶望的な当事者意識の欠如が浮き彫りにされています。この「そもそも論」をどうにかしないかぎり、法律や制度を変えてもどうにもならないでしょう。子どものころからの子育て教育が必要かもしれません。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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