岡山大学惑星物質研究所は、リュウグウが持ち帰った2つの粒子に含まれるアミノ酸を分析したところ、リュウグウの元の天体で有機物を含む水と反応して形成されたことがわかりました。地球が誕生して間もない溶岩の塊だったころ、水は太陽から遠く離れた小惑星にありました。太陽系が形成されたばかりのときは、小惑星も放射性物質の崩壊熱のために温度が高く、水は液体として存在していました。その流体の中でさまざまな有機物が反応して、アミノ酸や数多くの新しい有機物が生成されていったそうです。
当時の小惑星は、「アミノ酸を生成するのに非常に重要な環境」だったということですが、リュウグウの試料がおもに含水鉱物で構成されていることから、リュウグウもそうした天体のひとつだったことがわかります。
やがて放射性物質の崩壊が終わると温度が下がり、小惑星の水が凍って氷惑星となりました。それが、他の天体との衝突などにより小惑星は細かく砕け、一部はリュウグウのようなさらに小さな天体になり、一部は隕石となって地球に降り注ぎました。そのとき、アミノ酸をはじめとする多くの有機物がもたらされたということです。
同研究所のクリスチャン・ポティシェル助教は、アミノ酸生成の事実が判明したことに研究者たちは「狂喜乱舞」し、「お祝いの席ではしゃぎ過ぎて日本酒を飲み過ぎてしまいました」と話しています。生命の起源に関してどれほど重要な発見だったかが、この言葉からもわかります。
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