欧州

2023.04.06 11:30

ドイツ当局がツイッターを提訴へ、「違法コンテンツ」放置で

ドイツ連邦司法消費者保護省のマルコ・ブッシュマン(Shutterstock)

ドイツ連邦司法省(BfJ)は4月4日、ツイッターが違法コンテンツへの適切な対処を怠ったとして、同社に対する訴訟手続きを開始した。
 
ドイツのネットワーク執行法(NetzDG)は、同国内で200万人以上の登録ユーザーを持つSNS企業に対し、禁止コンテンツに関するユーザーからの報告があった場合に、削除を行うことを求めている。違法コンテンツには、ヘイトスピーチや個人的な脅迫、中傷、反ユダヤ主義に関連するものが含まれている。
 
「我々はツイッターの運営元が、違法コンテンツに関する苦情に対処する義務を怠ったことを示す十分な証拠を持っている。彼らの行為は罰金の対象となる」と、BfJは声明で述べた。
 
ツイッターは、ドイツの当局が違法とみなす多数のコンテンツを、ユーザーからの苦情にもかかわらず、放置したままにしているという。それらのコンテンツは、4カ月間にわたって投稿され「個人に関連する中傷的な記述」があるというが、その人物の氏名は明かされていない。
 
イーロン・マスクは、ツイッターが各国の法律を遵守すると繰り返し述べているが、ここ数カ月で彼がコンテンツの監視にあたるチームを縮小したことで、ヘイトスピーチやハラスメントへの対処には不備が見られている。
 
ツイッターはまた、ドイツにおいて、デジタル著作権運動団体のHateAidと欧州ユダヤ人学生連合(EUJS)が起こした訴訟に直面している。両団体は、反ユダヤ主義に絡むものやホロコーストを矮小化または否定する6つのコンテンツを同社が削除しなかったと主張している。
 
一方、EUはツイッターに対し、来年施行予定のデジタルサービス法(Digital Services Act)を遵守するためには、同社がコンテンツモデレーションスタッフを増員する必要があると警告したと報じられている。
 
BfJは、ツイッターに苦情に対応する機会を与え、同社の対応を考慮すると述べている。しかし、申し立てが正当であるという結論に達した場合、裁判所に訴訟手続きを開始するよう要請する予定で、ツイッターには最高5000万ユーロ(約72億円)の罰金が科される可能性がある。
 
「インターネットは、法の真空地帯ではない。プラットフォームは、自社のサービスが犯罪コンテンツの流布に悪用された場合に、それを単純に受け入れてはならない」と、ドイツのマルコ・ブッシュマン法務大臣は述べている。
 
forbes.com 原文

編集=上田裕資

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