ビジネス

2023.04.06

アマゾンとアップル、伝統的なスポーツ中継・エンタメ・広告を破壊する

アマゾン・スタジオ製作、ベン・アフレックとマット・デイモン主演の映画「エア」は今月劇場公開される(Getty Images)

デジタルメディアはこの10年間、Facebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)の2社に支配されてきた。2015年から2021年まで、このデジタル複占(2者による寡占)はデジタルメディアにおける広告費の半分以上を占めてきたが、昨年50%を割った。しかし最近になって、Amazon(アマゾン)とApple(アップル)によるもう1つの複占が生まれた。時価総額1兆ドル(約132兆円)を超える両社は、中核ビジネス以外へと事業を拡大し、スポーツ中継とエンターテインメント、広告で伝統的業界を破壊している。

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アマゾンは初めて、2023年のブラックフライデーにNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のゲームをストリーミング中継する。ブラックフライデーは伝統的にホリデーショッピングの始まりを表すものであり、アマゾンにとって忙しい1日になる。さらにアマゾンは、このゲームをPrime Videoユーザー以外の誰にでも視聴可能にすると発表した。

そして、Amazonプライムの『サーズデーナイトフットボール(TNF)』が最初のシーズンで、大きく視聴者数を減らしたことを受け、NFLは、負け越しているチームの登場する盛り上がらない対戦をいくつか例に挙げ、2023年にフレックススケジュールを採用することを検討した。プレイヤーとコーチがTNFのフレックススケジュールに反対し、計画は頓挫したが、NFLは、チームが日曜日にプレイした直後のTNFでプレイできる回数をこれまでの1回から2回に増やすルール変更を承認した。

さらにアマゾンは2023年、WNBA(ウィメンズ・ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)のゲームを毎シーズン16回配信し、ニューヨーク・ヤンキースのゲームを20回配信する。

それに加えて、アマゾン創立者のジェフ・ベゾスはNFLのワシントン・コマンダース買収にも興味を示しているらしいと報道されている。ベゾスがオーナーを務めるワシントン・ポストは、同NFL球団の劣悪な労働環境を批判する暴露記事を連載し、記事は現在の球団オーナーであるダニエル・スナイダーに球団を売りに出させるよう圧力をかけた。果たしてスナイダーにチームをベゾスに売るつもりがあるのか、それともビリオネアを使って値段を釣り上げようとしているだけなのかはまだわからない。値札は60億ドル(約7895億円)に達するかもしれないとの報道もある。フォーブスはワシントン・コマンダースの価値を、NFLで6番目に高価な球団となる56億ドル(約7369億円)と推計している。
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翻訳=高橋信夫

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