第4回となる今回は、アニメーション業界大手の東映アニメーション(東映アニメ)で2021年に発足した「デジタルプロダクト推進室」で室長を務める植野良太郎さんをゲストにお招きした。
前編では、アニメ制作の老舗として知られる東アニが事業としてWeb3への参入を決めた理由や、メタバースプロジェクトについて聞いた。後編では今年2月に始動した、NFTプロジェクト「電殿神伝-DenDekaDen-」や、海外で人気な作品の新たなマネタイズの可能性を探る。
前編:東映アニメーションがWeb3に参入 IPビジネスの新たな可能性 #1
所有者同士のコミュニケーションで世界を構築
水野:「電殿神伝-DenDekaDen-」について教えてください。植野:これはstrata社(Web3領域に強みがあるクリエイティブスタジオ)さんとの協業で、NFTを活用した新規IPプロジェクトです。フォロワーの反応や応援によって、7人のキャラクターが成長していくという世界観で、NFT所有者同士のコミュニケーションや行動によって世界が構築されていきます。TwitterやDiscordも稼働していています。
水野:フォロワーも約7万人いるんですね。新規IP創出ということでまさにデジタルプロダクト推進室のミッションと合致していると思いますが、Web3でファンを作って、その後の構想はありますか。
植野:やっぱりアニメーション会社なので、テレビ放送なり配信なり、お客さまが期待を寄せてくれるのはアニメ化なのかなと思っています。ただ、アニメ化ありきではなく、コンテンツが純粋に成長していって、その延長線上にアニメがあるのが理想の形ですね。
ここはまだ僕の想像の域を出ませんが、アニメ化からゲーム化、劇場版、グッズ制作やイベント、というような東映アニメーションの王道ビジネスに乗せていけたらとは思っています。
海外ファンに向けた新たな商機に
水野:いまのお話ともつながりますが、Web3ってグローバル展開にも可能性が広がっていますよね。植野:そうですね。日本では「ドラゴンボール」や「ワンピース」のような進行形の作品が人気ですが、海外のファンの方は「銀河鉄道999」や「マジンガーZ」のような歴史ある作品を愛してくださっている人も多いんですよ。私たちにとっては新たなマネタイズの創出を模索してきた作品たちが、メタバースやグローバルにきちんと届けることで注目されるようになるかもしれないという可能性を感じましたね。