東映アニメーションがWeb3に参入 IPビジネスの新たな可能性 #1

ブロックチェーンゲームなどのWeb3事業を手掛けるMinto代表の水野和寛が、業界のオピニオンリーダーを招き「Web3 × クリエイターの未来」をテーマとした対談をお届けする本連載。

第4回は、アニメーション業界大手の東映アニメーション(東映アニメ)で2021年に発足した「デジタルプロダクト推進室」で室長を務める植野良太郎さんをゲストにお招きした。アニメ制作の老舗として知られる東アニが事業としてWeb3への参入を決めたことは、Web3やクリエイターにとっても大きな転機になるのではないか。

2023年2月に発表があった「The Sandbox」(メタバース空間を制作できるプラットフォーム)での東映アニメーションLANDの取り組みや新たなNFTプロジェクト「電殿神伝-DenDekaDen-」などが動き出している。

これまでの同社のビジネススタイルにWeb3が加わることで、どのような化学反応が起きるのか。植野さんに聞いた。


課金から「面白いコンテンツへの対価」へ

水野:植野さん自身の経歴も含め、デジタルプロダクト推進室ができるまでの道のりを教えてください。

植野:東アニに入社したのが2017年で、それまではゲーム業界にいました。消費者向けゲームの開発からスタートし、スマートフォンゲームなどの世界で、ディレクターやプロデューサーという立場で仕事をしてきました。そのなかで感じたのが、ユーザーにお金を使ってもらう動機付けのあり方を変えたいということです。

ガチャシステムに代表されるような“課金”よりも「面白いコンテンツへの対価」としてお金を使って欲しいと思うようになったんです。そこでゲーム業界から、もともと好きだったアニメ業界へ目を向けるようになり、自分の経験を活かしてアニメを活性化させられたら、という思いで東アニに入りました。

水野:そこからデジタルプロダクト推進室ができるまではどんな経緯が?

植野:僕が抱いていたその思いを形にする=ビジネスにできる部署として、どこがマッチしているのかがわからず、いくつか部署を転々としました。実際に部署の設立が決まったのは2020年で、少しずつメンバーを集め、中途採用のメンバーも半分くらいいます。
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文=水野和寛 編集=露原直人

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