ビジネス

2023.04.17 19:00

バチェラー黄皓氏が「コミュニケーションの恐怖」を通じて体得した交渉術とは

「自分の考えていることが、うまく人に伝えられない」「人とコミュニケーションをとることに、苦手意識がある」と悩む方は多くいる。しかし、その悩みこそ「相手とよい関係を築き、人を動かす」ための第1歩に変えられるのだ。『超完璧な伝え方』の著者、4代目バチェラー・黄皓氏による「誰とでもスマートに人間関係を築く」ための簡単なテクニックを紹介する。

(記事提供=ダイヤモンド・オンライン


「相手が何を言ってくるか」想像しておく


仕事をしていると、相手と交渉する場面がたくさんあると思う。

交渉では基本的に「何が出てきても動じない」スタイルを貫けると強いものだ。

そのためにも、交渉に臨む前にまず自分の5W1Hを明確にしなければならない。

そして、相手が何を言ってくるかもあらかじめ想像しておく。

交渉である以上、自分のニーズと相手のニーズには必ず乖離があるはずだ。

その乖離を大前提として、提示される条件を想定するのだ。

そのうえで、自分と相手の質疑応答も想定し、答えを用意しておく。

「今日はこの交渉をしに行くので、相手からは、おそらくこういう返答がくる。そしたら、こう切り返す」と事前にイメージしておく。

私は交渉に臨む前に、返答のパターンを10通りは準備するようにしている。

そして、想定をするなかで、自分が受け入れられる範囲のゴールも決めておく。

「ここまでは譲れるけれど、これ以上は譲れない」という境界線をあらかじめ定めておくのだ。

これらの準備をしたうえで、交渉に臨む。

絶対に相手を否定しない


この本ではコミュニケーションの前提として勝ちすぎないことが大切と伝えた。

交渉においても100%勝つのではなく、「5勝5敗に見える6勝4敗」を目指すべきである。

ポイントは、すべての会話において絶対に相手を否定しないこと。

たとえば、自分が提示した条件Aに対し、相手は「いやー、うちはBじゃないとだめですね」と食い違いがあったとする。

そのとき、「いやいや、Aでお願いしますよ」と自分のニーズを押し付けてはいけない。

「そうですよね。いやー、Bは絶対いいですね。〇〇さんにとっては、Bじゃないと厳しい面もありますよね」と一度受け入れるようにする。

しかし、これは受け入れたフリなのだ。

「いいですよね。わかります。じゃあBを実現するうえでも、私たちとしてはこういう要素がないと難しくて、ここだけ叶えてくれませんか? それで限りなくBに近い条件をお届けすることができます」

このように相手のニーズを受け入れているように見せながら、自分のニーズに寄せていく。

これが交渉で目指すべきスタイルだ。

交渉は非常に難しいコミュニケーションだが、原則は相手と対等であるはずである。

対等な関係においては、相手をムキにさせることが一番の損になってしまう。

相手に一定の満足感を与えることが大事だ。

「でも・しかし・とはいえ」など、相手を否定する言葉は絶対に使わない。

まず示すべきは相手への共感や敬意なのだ。

些細なことに感じるかもしれないが、相手を否定しないというのは、交渉に限らずあらゆるコミュニケーションの基本であり、王道のテクニックでもある。

(黄皓著『超完璧な伝え方』から一部を抜粋・改変したものです)


黄皓(こう・こう)◎中国湖南省出身。ミラーフィット代表取締役、『バチェラー・ジャパン』4代目バチェラー。10代で来日、早稲田大学卒業後、三菱商事入社。メキシコ駐在後独立し、北米・アフリカからの資材輸入を行う貿易物流会社の代表取締役、全国20店舗以上展開のパーソナルジム経営者を務める。2020年7月、スマートミラーデバイス「MIRROR FIT.」を通してオンラインフィットネス事業を展開するミラーフィット創業。地上波放送をはじめ、雑誌、WEBなど多数のメディアに出演。著書に『超完璧な伝え方』(ダイヤモンド社)、『異なる勇気』(KADOKAWA)がある。

ダイヤモンド・オンライン

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