米国の大統領経験者として初めて起訴されたドナルド・トランプは4日、ニューヨーク・マンハッタンの裁判所に出頭し、罪状認否に臨んだ。公開された起訴状によると、トランプは女性3人との不倫関係を隠すために行った一連の「口止め料」支払いをめぐり、ビジネス記録を改ざんしたとして34件の重罪に問われている。トランプはすべてについて無罪を主張したとのことだ。
起訴状や検察の発表によると、トランプは2016年の大統領選挙の前後、自分に不利になる情報をもみ消すため、3件の口止め料を支払った。うち1件は、2006年にトランプと不倫関係にあったと主張するポルノ女優ストーミー・ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード)に、顧問弁護士を通じて13万ドル(約1700万円)を渡した。このほか、トランプが妻ではない女性との間に子どもをもうけていたと主張していたトランプタワーのドアマンと、雑誌プレイボーイのモデルだったカレン・マクドゥーガルにもお金を握らせたとされる。
トランプをめぐっては1970年代以来、レイプ、体のまさぐり、その他のセクハラなどの被害を受けたとして、少なくとも20数人の女性が訴え出ている。うち1件は今月、裁判が始まる予定となっている。トランプはこれまで、女性たちの訴えを否定してきた。
今回の裁判では、トランプとその取り巻きたちが黙らせようとしてきたダニエルズが「主役」の1人になっている。ダニエルズは英国の新聞タイムズのインタビューで、この起訴を「詩的」と表現してみせた。ニューヨークの大陪審による起訴は、トランプが近く「被告」となるいくつもの事案のほんの始まりにすぎない可能性もある。
ダニエルズはトランプについて、もはや「アンタッチャブルな(触れてはいけない)」存在ではないと語っている。「権力をもつ人であっても、法律の適用を免れるわけではありません。どんな仕事に就いていようが、あるいは銀行口座にどれほどの金額があろうが、自分の言動については責任を問われるし、正義は果たされるのです」