この1件は大きく取り上げられて大ひんしゅくを買ったが、トランプの不適切な発言としては氷山の一角にすぎない。トランプはほかにも女性嫌悪(ミソジニー)の発言や性的に不適切な発言をいくつもしていて、相手は実の娘のイバンカから、ホスト役を務めたリアリティー番組「セレブリティー・アプレンティス」の参加者、大統領選で争ったヒラリー・クリントンまでさまざまだ。
トランプのホワイトハウスでは、悪評を払しょくする手立てや機会はあったのに、本人はそうする気がないことをみずからの行動ではっきり示した。重要な役職に女性が就くことはほとんどなく、職員に支払われた金額は男性1ドルにつき女性は69セントと大きな格差があった。バラク・オバマ政権のもとで設けられた「女性と少女に関する評議会」は解散させられた。ドメスティック・バイオレンス(DV)や性的暴行の意味合いも狭められ、男性職員がDVで訴えられた時にはトランプは彼を擁護し、辞任にあたっては「すばらしいキャリア」をとエールまで送った。
けれど、トランプのミソジニーやセクハラの歴史と同じくらい明白なことがある。それは、女性たちがその都度、抗議の声を上げ、不当な振る舞いに立ち向かってきたことだ。トランプがクリントンのことを「嫌な女」とけなしたあと、彼女はそれをスローガンに変え、その言葉をあしらったTシャツも作成して収益は家族計画に寄付するようにした。トランプがくだんのテープの件にもかかわらず大統領に当選すると、就任式の翌日、何百万もの女性がピンクの「プッシー」帽をかぶって街頭に繰り出し、抗議の意思を示した。
翌2018年の選挙には過去最多の女性が選挙に出馬し、連邦議会の女性議員比率は史上最高に達した。トランプがこれまで、自分を告発した人を中傷したり、脅したりしてきたことは、トランプから被害を受けた女性たちももちろん知っている。それでもなお、彼女たちは名乗り出て、トランプによる不当な行為を告発し続けている。
(forbes.com 原文)