北米

2023.04.06 09:30

アパート物件売上高が74%の減少に、米不動産市場が急減速

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米国の不動産市場では、2023年第1四半期のマルチファミリー物件の売上高が前年から約400億ドル(約5兆2700億円)減少したことが明らかになった。1棟に複数世帯が入居する住宅のマルチファミリー物件は、個人の不動産投資の対象として最も人気のセグメントだが、金利の上昇や銀行業界の混乱の中で、その人気に衰えが見られている。

商業用不動産のデータベースのCoStar Groupの四半期データによると、米国の投資家が第1四半期にアパートメントビルに支払った金額は140億ドル弱だった。この金額は、前年同期比で74%の減少で、CoStarによると、減少幅は77%の減少を記録した2009年第1四半期に次ぐ規模を記録した。

さらに、パンデミックの初期に賃貸住宅市場が減速した2020年初頭以来で、四半期あたりの売上高は最低を記録した。アパート市場はパンデミックの間に拡大し、2021年の第4四半期には過去最高の1160億ドルに急増したが、これは主に家賃の上昇と全国的な住宅不足が原因だった。

しかし、過去6カ月間、家賃相場が低迷した一方で、金利の上昇により不動産購入のための資金の調達が困難になっている。さらに、パンデミックの中で多くの買い手が記録的な高値で物件を取得したため、現在では特に売却が困難になっている。

金利の上昇に加え、シグネチャー銀行の破綻のような直近の混乱は、不動産市場をさらに圧迫すると予想される。シグネチャーのような地方銀行は、商業用不動産分野の主要な貸し手であり、2022年末のシグネチャーの総貸出額の約半分を不動産向けが占めていた。

一方、パンデミックの開始以来、7%の家賃上昇を経験している住宅の借り手にとって、マルチファミリー物件の売上高の減少は、朗報となるかもしれない。アパートが新たなオーナーに売却されると、家賃が上昇する場合が多いため、売却件数の減少が家賃の安定につながる可能性がある。

苦境に立たされている不動産セクターは、マルチファミリーのカテゴリだけではない。オフィス物件は、リモートワークやハイブリッドワークの定着を受けて、特に大きな打撃を受けている。特に古いオフィス物件のオーナーは、リノベーションを行うか、ローンの返済を遅らせるかの選択を迫られている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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