5世代の相続が引き継がれた結果、93人の共有名義になった驚愕のケース
そもそも、「共有不動産」にならないようにする事が大切なのは言うまでもない。理想は、親が元気なうちに指定した1人に土地を相続させて、他の子供には、平等な評価になるように流通資産で調整する遺言を作成しておく事。しかし、問題を先延ばしにしてトラブルになったという、「クランピーリアルエステート」が遭遇した3つのケースを伺った。ケース1:「高齢化による認知症」高齢の親が遺言を作る前に認知症になってしまった地方都市のケース。昭和20年代に建てられた家を巡って、10人以上の共有名義になっており、認知症の親に代わって代理人を立てて裁判官が判定を下すという特別な裁判が行われているが、なかなか進まず未だ結論が出ていないという。
ケース2:「遅すぎる不動産認識」近畿地方のケースでは、元々1人の持ち物だった不動産を、5世代にわたり何も手を打って来なかった為に、子供・孫・ひ孫など、ネズミ算式に所有権者が増えてしまい、その結果93人の共有状態が発覚した。
ケース3:「戸籍問題」内縁関係にあった男女のケース。20年前に共同名義でマンションを購入したが、2人が別れた20年後。内縁だった妻が、共同名義で買ったマンションを売りたいのだが、婚姻届がなく戸籍を取得できなかった為に難儀を強いられた。
未来図は、「DXと人力」をバランスよく配置
「これらトラブル処理にかかる時間と労力は、当然弊社の負担になってきますが、私は日本で一番『共有不動産』を扱う不動産会社の代表として、悩める方々のお力になりたいと強く思うようになりました。最近では、『業務にブロックチェーンやAI導入をしては、どうだろうか?』といった構想も挙がっておりますが、不動産業界では、契約書が未だに紙だったり、お客様の感情を鑑み合わせながら進めていかなくてはいけなかったり、実はITから遠いジャンルでもあるのです。
とはいえ、時代に適合しつつ、事務的な業務についてはDX化を推進し、人間が介在しないと成立しない交渉事は人力で、と使い分けながら、既存の不動産会社では実現出来ないような、新しいビジネスモデルを作っていきたいと考えております」