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2023.04.08

明日は我が身? 「共有不動産」問題とは

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2024年から、相続登記の義務化が施行

折しも来年2024年4月、法律が変わる。所有者不明の空き家増加問題を国家レベルで乗り出した結果、相続登記が義務化される事態に。これに伴い、ここ数年、相談件数が増加傾向にあるという。書籍「トラブルになったら一番最初に読む本『共有名義不動産』」のなかで、分かりやすい事例を解説している大江代表。

「私共に相談に来られる方の大半は、莫大な資産を有する富裕層ではなく、一般家庭の方がほとんどです。弊社が手掛ける案件で圧倒的に多いのは、世田谷区の不動産ですが、調査してみたところ、トラブルになっていないケースも含めて、世田谷区の約1/3の不動産が『共有不動産』になっていました」。

その要因として、世田谷区は、90万人と人口が多い事に加え、東京の地価が160%に高騰している現在、広い土地に先祖代々住み続けている人が多い。ところが、住んでいる家が不動産価格で1億円の価値があったとしても、貯蓄額は1千万円にも満たない落差。そこで、共有名義になった後に、兄弟間で面倒な金銭問題が生じてくる。


年間2000件の相談を受けるが▶️成立は1/20の約100件

それでは、いざ相談を受けてから売却までは、意外に早い。平均して2週間、解決というより完了するという。そのスピーディさの源には、母体であるWebマーケティング会社がこれまで蓄積してきた豊富なデータ量と、「共有不動産」に関する法律に強い弁護士とのパートナーシップにある。

「ご相談を受けたら、まず現状をヒアリングさせていただき、物件から売買価格を即座に算出します。あまり長く時間を置かず、スピード感を持って行うようにしています」と大江代表。

「年間2000件のご相談をいただいた場合、土地建物にどのくらいの需要があるかを弊社でリサーチしてから売買の交渉に入ります。なので、全てのご相談をお引き受けするというわけではなく、売買が成立するのは、うち100件ほどです」。

その場合、キーポイントとなる売りやすい土地の条件は、東京や大阪といった都心部や、県庁所在地のある利便性の高いエリアに限定される。

他の不動産業者が扱いたがらない『共有不動産』売買に於ける日本最大手を担う「クランピーリアルエステート」。一般的な不動産売買でなく、敢えて茨の道を選んだ大江代表が、言葉少なに熱い思いを語り始めた。

「『共有不動産』を売買するこの仕事に、社会的意義を感じています。『長年わだかまっていた親族間のトラブルが解決して、諦めていた現金化が叶った』と、売り主様から感謝の声をいただく度に、今後さらに『共有不動産』問題で悩む方々を全力でサポートしていきたいと思うようになりました。ネットワークを備えている知見を活かして、関東圏だけでなく全国に広めていきたいです」
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文=中村麻美

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