アジア

2023.04.05 13:00

台湾の蔡総統がマッカーシー下院議長と会談へ、中国は猛反発

ケビン・マッカーシー下院議長(Getty Images)

中国の外交当局は4月4日、米共和党のケビン・マッカーシー下院議長が5日に台湾の蔡英文総統と会談することは、すでに緊張状態にある米中の関係をさらに悪化させると警告した。

ロサンゼルスの中国総領事館のスポークスマンは声明で、マッカーシー議長の会談は「1つの中国」政策に対する「重大な違反」であり「14億人の中国人の国民感情を大きく傷つける」と述べた。

中国領事館は、彼らが「米政府で3番目に高い地位にある」とみなすマッカーシー議長が「台湾カード」を使うことは、米中関係をさらに悪化させ「中国国民が団結して祖国統一のために戦う決意」を強めることにつながると警告した。

中国は、蔡総統の米政府高官との会談を「政治的な見世物」と断じ、米政府は蔡総統の訪問を許可することで台湾の独立の努力を「共謀し支援した」と主張している。蔡総統は、中米のグアテマラとベリーズの訪問を終えた後の5日にロサンゼルスに到着する予定だ。

中国領事館は声明で「中国は米国に対し、台湾当局とのあらゆる形態の公式交流を停止し、中国を封じ込めるために台湾を利用する誤った行為を停止するよう求める」と述べた。

マッカーシー議長は、5日にカリフォルニア州に立ち寄る蔡総統と「超党派の会合」を開催する計画を発表した。会談は、ロサンゼルス郊外のロナルド・レーガン大統領図書館で行われる予定だ。

蔡総統が、米国の議員と会談を行うのは1年足らずの間で2度目となる。昨年8月には、ナンシー・ペロシ前議長が議会の代表団を率いて台湾をサプライズ訪問し、蔡総統と会談したが、これに激怒した中国政府は台湾近海で過去最大級の軍事演習を実施していた。

先週、蔡総統がマッカーシー議長と会談するという噂が流れた際に、中国の台湾事務弁公室の報道官は、この動きが中国への「新たな挑発行為」にあたり「必ず反撃する」と警告していた。

台湾総統府の秘書長は中国当局の脅しに対し、レーガン元大統領の演説の「善人が恐れないなら悪は無力だ」という言葉を引用して反論した。さらに「台湾が他の民主国家と交流することは、2300万人の台湾人の権利であり、中国が口を挟む余地はない」と付け加えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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