自称作家の多くは、ChatGPTのような技術を利用して絵本を作り、その絵にAI搭載アプリで作成したアートを添える。例えば、ニューヨーク州ロチェスターに住む販売員のシックラーは、簡単な指示からテキストブロックを生成できるAIプログラムを使って、30ページのイラスト入りの子供向け電子書籍を数時間で書き上げた。そして、1月にはAmazonの自費出版事業を通じて実際に販売をはじめたという。
ロイター通信によると、2月中旬現在、アマゾンのKindleストアには、ChatGPTを著者または共著者として記載した電子書籍が200冊以上ある。『ChatGPTを使ったコンテンツの書き方・作り方』、『The Power of Homework』 、詩集『Echoes of the Universe』なども含まれる。こうした書籍の数は日に日に増えている。
Amazonでは、ChatGPTが完全執筆した、ChatGPTの使い方に関する本という新しいサブジャンルまで登場している。しかし、ChatGPTの性質上、多くの著者がその利用を明らかにしないため、AIが執筆した可能性のある電子書籍の数を正確に集計することは現実的に困難だ。
さらに、YouTubeやTikTok、Redditには、数時間で本を作る方法を詳細に説明したものが何百とアップロードされている。一攫千金のテクニック、栄養学のアドバイス、ソフトウェア開発のノウハウ、レシピなど、その内容は多岐にわたる。
このソフトウェアの成長は、すでに最大手の技術系企業に衝撃を与えている。Alphabet IncとMicrosoft Corpは、それぞれGoogleとBingに、AIを組み込んだ新機能を急いで提供するよう促している。
ChatGPTの消費者への迅速な普及は業界に熱狂をもたらした。投資家はAIに特化した新興企業に資金を注ぎ込み、テクノロジー企業は大幅な人員削減の中で新たな目標を持つようになった。例えば、マイクロソフトは先月、ChatGPTとの連携を披露し、普段は不活発なBing検索エンジンに熱い視線を浴びせた。
ChatGPTは、何百万ページもの過去のコンテンツをスキャンして文章を学習する。したがって、その事実の正確さにはすでに疑問があり、出版社は当然ながらこの現象の拡大に懸念を抱いている。
「これは本当に心配しなければならない事態です。こうした本は市場に溢れ、多くの著者が仕事を失うことになります」と、全米作家協会の常任理事であるMary Rasenberger氏はロイター通信に語っている。
「こうした本がどのように作られるのか、著者やプラットフォームから透明性を確保する必要があります。さもなければ、低品質の本が数多くできてしまうことになります」
(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から翻訳転載したものです)