北米

2023.04.05

米宇宙軍幹部が国防総省に「ビットコインの採掘」呼びかけ

Getty Images

米国の宇宙軍の少佐が、国防総省(ペンタゴン)に対し、戦争をする代わりにビットコインを採掘するよう呼びかけている。

ニュースサイトPoliticoは3月30日、宇宙軍のジェイソン・ローリー少佐が、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)によるビットコインの採掘(マイニング)が、将来的に武力紛争の代わりになる主張し、米国政府が、ただちにビットコインをサポートし、採用すべきだと論じていることを報じた。少佐は、すでにアマゾンで販売中の400ページにおよぶ論文で「ビットコインは国家の戦略上、必要不可欠なものであり、採用しない場合、米国は世界の超大国としての優位性を失う恐れがある」と主張している。

ビットコインの採掘は、高性能のコンピュータで難解な数学的問題を解いてブロックチェーンを確保し、その見返りとしてコインを得ることで行われる。このプロセスでは、膨大な電力が消費されるが、ローリー少佐は、各国は、ネットワーク上に十分なサイズのビットコイン取引を刻むことで、サイバースペースで力を発揮できると述べている。

「この論文の著者のローリー少佐は、生物学や進化論、人類学、政治学、コンピュータ理論などの科学的概念を用いて権力のダイナミズムを説明し、ビットコインなどのPoW技術がなぜ、サイバー空間を通じて、人間社会に劇的なインパクトを与えるかを論じている」と、アマゾンで扱われている論文の推薦文には書かれている。

現役の宇宙軍の宇宙工学者で、MITの国防フェローでもあるローリー少佐は、軍の幹部にビットコインについて助言している。宇宙軍は、地球外における米国の利益を守るために2019年末に創設された。

「Softwar:A Novel Theory on Power Projection and the National Strategic Significance of Bitcoin(ソフトウォー:戦力投射とビットコインの国家戦略の重要性に関する新たな理論)」と題された論文で、ローリー少佐は、ビットコインが国防に役立つと主張し、米国政府がビットコインを備蓄し、国内のマイニングを支援し、憲法修正第2条の保護を与えることを求めている。

一方、以前から暗号資産に批判的なことで知られる民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は先日、暗号資産の規制の強化に向けて「反クリプト軍」を構築すると宣言した。米証券取引委員会(SEC)を監督する上院銀行委員会のメンバーであるウォーレン議員は、昨年から相次いで提出された、暗号資産の規制強化の法案を主導している。

米国の国防高等研究計画局(DARAP)の軍事イノベーションオフィスは昨年、ビットコインや暗号資産の不正使用に対する幅広い取り締まりの一環として、暗号資産が安全保障や法執行にもたらす潜在的脅威に関する調査を開始していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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