レーザ光で網膜に映像を描き出す
DSC-HX99 RNV Kitのビューファインダーには超小型のレーザプロジェクターと、プロジェクターの投射光を反射させる鏡を内蔵する。QDレーザが培ってきた「光を操作する技術」により、RGBの3原色によるレーザー光線をスクリーンに見立てた網膜へ直接あてて映像を結ぶ。QDレーザがYouTubeチャンネルに公開している網膜投影技術の解説動画
QDレーザの網膜投影技術に使用するレーザの出力は、レーザの扱いに関する国際/国内規格において最も安全な「クラス1」に分類されている。実際にはクラス1のレーザよりもさらにその出力は数百分の1のレベルまで微弱であることから、十分な安全性が確保されていると同社の宮内洋宜氏は説明している。
なお、QDレーザ独自の網膜投影技術を使ったRETISSA(レティッサ)シリーズのデバイスには、福祉用具としてハンディタイプの拡大読書器「RETISSA ON HAND」や不正乱視向けの医療用アイウェア「RETISSAメディカル」もあり、その実績が各方面で認められている。
写真右からQDレーザの宮内洋宜氏、ソニーの伊藤美和子氏とソニーマーケティングの西賀子氏
「見えづらい」を「見える」に変えるプロジェクト
QDレーザの網膜投影技術を搭載するアクセサリービューファインダーが誕生した経緯は、元を辿れば「クリエイティビティを発揮できるデバイスにもこの技術を活かしてほしい」という、ロービジョンの方々から寄せられた声に端を発している。2020年にQDレーザはロービジョンの方々のクリエイティビティを支援する「With My Eyes」プロジェクトを立ち上げた。第1弾として、カメラ型デバイスのプロトタイプによりロービジョンの方々が自らの目で写真撮影に挑む企画を実施した。これが好評を博したことから賛同企業も広がっていった。
ソニーは2021年5月からQDレーザのプロジェクトに加わり、2022年3月に主要賛同企業になった。両社が本格的にものづくりと商品の販売展開におけるパートナーシップを組んだ機会はこれが初めてだ。