国内

2023.04.13

新種のSaaSが400倍成長 決済やサブスク企業の利用続々

Lecto代表の小山裕(撮影=藤井さおり)

ガスや電気といったインフラ事業者からの相談も増えている。
 
「物価の上昇やウクライナ情勢による原油・天然ガス価格の高騰を受け、インフラ料金の滞納者が増えるのではないかと危機感を持つ企業が増えているんです」と小山は話す。
 
金融事業者と違い、インフラ系の企業は債権の督促や回収のみを担う担当者の数は少ない。組織の構造面から考えても、債権業務の効率化・自動化が急がれる。
 
行政への導入も始まっており、直近の事例では、今年から償還が始まったコロナの影響による特例貸付の回収サポートも行っている。
 
「債務者の管理をExcelや紙で行い、担当者は毎回入金を確認。入金が無ければ突合作業(​​数値が正しく一致するか確認する作業)をして電話や自宅へ訪問する。しかも、1人あたりの担当数は月に2000件……。なんていう自治体もあります。途方もない作業量ですよね。
 
まずはひとつの自治体で導入してもらっているので、業務負担が改善され、全国規模で広がっていくといいなと思っています」
 
他にも、携帯電話会社や医療法人、社会福祉法人などからの問い合わせも増えているといい、その需要はますます広がりつつある。

コアメンバー退職の反省活かす

前職時代に債権回収率の改善に苦労したことから誕生したLecto。小山は、事業面以外にも学んだことがあるという。
 
「かつて経営していた会社では『自分が立ち上げた事業なんだから、自分が絶対に正しい』と思っていた時期がありました。それゆえに、メンバーへ意見することも多く、心強い仲間ができても3〜4カ月で辞めてしまう……ということもあって。

いまは、プロダクトに関しては、基本的に任せた人間にやってもらっています」
 
苦い経験を活かしたマネジメントは、功を奏しているようだ。
 
「権限委譲を意識するようになってから、メンバーそれぞれが自分の得意な領域で、自分にはとてもできないようなことも率先して取り組んでくれているので、うまくいっていると感じています」
 
時間ができた分、小山はメディア露出やセミナー登壇など、積極的に表に出ていくように心がけているという。 

「どんなにいいものを作っても、知ってもらえなければ使ってもらえません。使ってもらえなければ売り上げも立たないので、事業を継続することはできません。『僕たちはどういう課題解決を通して、世の中を変えたいか』ということを、今後も外に向けてきちんと伝えていきたい」

取材・編集=露原直人 文=小野瀬わかな 撮影=藤井さおり

ForbesBrandVoice

人気記事