ロイターは「昨年のリリース以来、ChatGPTはテクノロジーの熱狂を巻き起こしており、ライバル勢が同様のプロダクトを次々に発表したり、各社が同様の技術を自社のアプリや製品に取り入れたりするようになっている」と伝えている。
イタリアの措置はそうしたさなかでとられた。GPDPによると、3月20日に「(ChatGPT)利用者の会話内容や支払い情報に関するデータ喪失(データ漏えい)」が発覚したという。GPDPはChatGPTに関して「アルゴリズムの訓練を目的とした個人データの大量収集・保存を正当化する法的根拠がない」とも指摘している。
GPDPは発表文でチャットGDPについて、欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」に違反していないか調査する考えも示している。また、未成年者を「発達や認知の程度にまったくふさわしくない回答にさらす」と懸念を示している。
EUは現在、AI規制法の導入準備を進めている。パリジャンはこの法律について「社会的な影響をもたらす可能性の高いAIを定義する」ものと紹介し、これによってChatGPTのような生成AIの人種差別・女性差別的バイアスへの対策が可能になるだろうとしている。
EUのAI規制法では、加盟各国にAIの規制当局を設けることなども検討されている。
オープンAIは31日、GPDPの要請を受けてイタリアでChatGPTを利用できなくしたことを明らかにするとともに、AIの訓練で個人データの使用を減らすことに積極的に取り組んでいると説明している。
ユーロニュースによると、GPDPはオープンAIに対して、状況を是正するために講じた措置について20日以内に報告するよう求めており、対応をとらなければ最大2000万ユーロ(約29億円)もしくは世界での年間売上高の最大4%にあたる金額を罰金として科す可能性があるとしている。
ChatGPTのようなAIチャットボットをめぐっては、欧州刑事警察機構(ユーロポール)も3月27日「フィッシング」などのサイバー犯罪や偽情報、マルウェアなどに悪用されるおそれがあるとする報告書をまとめている。
(forbes.com 原文)