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2023.04.06

日本のロケットは「空気」に弱い? 未来型システム思考が複雑な問題の核心をつく

プレスリリースより

JAXA宇宙科学研究所の出身者が創業した、宇宙開発のシステム工学や方法論をもとに問題解決を支援する企業レヴィは、複雑な現代社会の問題を「モデリング」、つまり可視化するツール「Balus」(バラス)を使って一連の国産ロケット打ち上げ失敗の原因を探る議論の動画を公開しました。問題をモデリングすることで、「空気」というじつに情緒的な要素が浮かび上がってきました。

Balusは、レヴィが提案する対話や協調によって価値を創造する考え方「未来型システム思考」をチームで行うためのツールです。オンラインで会話をしながら思いついたことをカードに書いてボードに貼り付けていくことで、さまざまな思考を整理したりつなげたりして、議論の流れを作り、課題の全体像を俯瞰できるようにしてくれます。

この動画は、Balusの使い方を紹介する目的でレヴィが公開している動画『なんでもモデリング教室』の第5回『最近の大型プロジェクト失敗について考える』というものです。レヴィの社員4人が討論をしながら問題の可視化をしていきます。

メディアでは「失敗」という言葉が連呼され、「日本の産業はもうダメじゃないのか?」という絶望論も聞こえてくることに対して、何を持って何がダメだと言っているのかを分解しようと話が進みます。1回の失敗で大きく叩かれる日本のロケット開発事業と、15年前から失敗を重ねながら飛躍してきたスペースXとの対比も示され、そこから日本の開発者の間にある「絶対に失敗してはいけない雰囲気」が指摘されます。それは記者会見で関係者が泣いて謝るという「エモーショナルな反応」に現れ、開発者のプレッシャーになっているが、Twitterなどではむしろ「試験に失敗は付きものだ」と応援する声のほうが多い。そうした「空気」を気にせず「開き直り」が大切だと議論は展開されます。

動画では、この議論の内容もさることながら、発言をカードに書いて並べていくことで議論が発展していく様子も興味深く見ることができます。話の流れが見える状態であるため、このような大きな問題で1時間という長きにわたる議論ながら、話が散漫になることもありません。最終的に完成した「モデル」を見れば、議論の概要を俯瞰でき、さらに新たな発見が生まれることもあります。そこが、文章だけで書かれた議事録とは大きく異なる点です。

『最近の大型プロジェクト失敗について考える』はこちらのサイトで公開されています。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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