当社の調査によると、小売企業のほぼ10社に6社が、自社のウェブサイトやモバイルアプリに広告を掲載するオンサイト・リテールメディアを採用しています(図4参照)。
オンサイト・リテールメディアの効果は、ネットワークのリーチに大きく左右されます。そのため、幅広い商品を扱うマルチブランドの小売企業や百貨店にとっては、より多くのトラフィックを集めることができ、より適しているといえるでしょう。
一方、オフサイトは、シングルブランド小売企業(通常、限られたカテゴリーやブランドを扱う企業)にとって大きな利点となります。オフサイトを通じて閲覧者を拡大し、その閲覧者を自社のウェブサイトに誘導して、新たなトラフィックを増加させることができます。
Coresight Researchとのインタビューでは、ある大手アパレル専門小売企業の幹部は、従来の小売企業にとってはオンサイトがより理にかなっていますが、シングルブランド小売企業にとっては、閲覧者の規模を拡大できるオフサイトが有効です、と述べています。
図3. 米国小売企業で現在使用されているリテールメディアのフォーマット
(図内の訳、コメント「現在小売企業の大部分はオンサイト広告を利用している」)
対象:現在リテールメディア有する米国小売企業194社
出典:Coresight Research
2. ノンエンデミック広告のビジネスチャンス
ファーストパーティデータとブランド広告の豊富な配置オプションを組み合わせることで、リテールメディアは、ノンエンデミック広告主、つまり、直接商品の販売は行わないが、補完的な製品やサービスを提供するブランドにとって、魅力的なチャネルになります。これらの企業は、中核とする事業が重複していないものの、顧客タイプが強く重複しているため、検索や購買行動によってもたらされる一連の動きは、広告主にとって重要な価値を持つ可能性があります。
また、特にサードパーティークッキーが段階的に廃止されていく中で、広告主は潜在顧客にリーチする効果的な方法としてそれらを認識しています。
多くの場合、ノンエンデミック広告はエンデミック広告よりも大きな支出を伴うため、RMN収益を大幅に向上させることができます。また、ノンエンデミックを利用することで、小売企業は既存の売上とのカニバリゼーションやブランド間の衝突を引き起こすリスクなしに、消費者体験を向上させることができます。
そして、消費者も同様に、個々が価値を見出す可能性のある製品やサービスに対して、的を絞った、よりパーソナライズされた提案を受けることができるという点でメリットがあります。