ブランドの共同創設者であり、最高ブランド責任者でもあるタイソンは発表した声明でアムステルダムでの出店について「夢がかなった」と述べている。
大麻を吸引することが容認されているコーヒーショップで、タイソン2.0が販売するのは大麻のほか、アクセサリーやその他の革新的なアイテムだ。その製品には、最近SNSなどで話題となった「マイク・バイツ」などがある。
マイク・バイツは大麻成分入りのグミで「耳」の形をしている。タイソンが現役時代、対戦したイベンダー・ホリフィールドの右耳をかみ切った悪名高い一件にアイデアを得たものだ。
1997年のこの「事件」でタイソンは、世界ボクシング協会(WBA)ヘビー級のライセンスを1年以上にわたって停止され、300万ドル(約3億9900万円)の罰金を科されている。
タイソンは伝説のボクサーとしてその名を成しただけでなく、大麻関連ビジネスを手がける起業家としても広く知られている。2021年には大麻の生産を拡大したいマラウイ農業省が、外国からの投資を呼び込むためのアンバサダーへの就任を打診している。
タイソン2.0のアダム・ウィルクスCEOは、1号店を開業する場所にアムステルダムを選んだことについて、世界で最も人気の高い観光地の1つであることを挙げている。アムステルダムを訪れる観光客は、年間2000万人近くにのぼる。
また、タイソン2.0は今年に入り、カナダの大麻企業パープル・ファーム・ジェネティクス(Purple Farm Genetics)との提携により、同国市場に進出する計画も発表している。カナダでの販売開始に向けては昨年8月、同業のヘクソ(HEXO Corp)とパートナーシップを結んだことを明らかにしていた。
大麻ツーリズムとアムステルダム
ブランドのイメージカラーである赤と黒、むき出しのレンガの壁とライトオークの調度品が特徴のタイソン2.0のコーヒーショップは、面積およそ111平方メートル。アムステルダムの中心部にある。ただ、同店の開業は、市当局が規制強化に動き始めたタイミングで実現することとなった。オランダが大麻をはじめとする「ソフトドラッグ」や売春に対して寛容な政策を取ってきたことは、多くの外国人観光客を呼び込む一因となってきたが、同国では大麻が合法とされているわけではない。
アムステルダム市は今年2月、コーヒーショップが密集する歓楽街の路上での大麻の使用を、5月中旬から禁止すると発表。吸引を認めるのは店内のみとした。さらに今後、店内でもテラス席では使用を禁じるなど、規則を厳格化する可能性があるとされている。
こうした規制強化策は、地元住民の生活の質を向上させるための政策の一環だ。市民は以前から、多数の観光客が「飾り窓地区(デ・ワレン)」と呼ばれる歓楽街に集まることで、生活に悪影響を受けていると訴えていた。
そのほかアムステルダム市は、飲酒やドラッグの使用、性的サービスの利用を控えて欲しいと外国人観光客に呼び掛けるキャンペーンも開始している。
一方、欧州のその他の国では、大麻販売の合法化に関連した社会実験を年内に開始する計画などが発表されている。
(forbes.com 原文)