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2023.04.03

トランプSNSの合併相手が株価急騰、広告収入の増加予測で

Getty Images

ドナルド・トランプ前大統領の起訴は投資家を興奮させ、彼の保有資産を増加させようとしている。トランプのSNSの運営元との合併を画策中の特別目的買収会社(SPAC)「デジタルワールド・アクイジション・コープ(DWAC)」の株価は、トランプが起訴された3月30日から31日朝にかけて約10%急騰した。

トランプのSNS「トゥルース・ソーシャル」の運営元のトランプ・メディア(Trump Media and Technology Group)は、SPACのDWACと合併する計画だ。一般投資家は、トランプ・メディアの株を直接購入できないが、すでに上場しているDWACの株を買えば、両者が合併した際に、トランプの事業の株主になれる。

投資家は、トランプが起訴されたことでトゥルース・ソーシャルの価値が高まることに賭けているのかもしれない。理論的には、元大統領の起訴によって世間の注目が集まり、トランプのSNSの広告収入が増加することが想定可能だ。ただし、初期のデータで元大統領のトゥルース・ソーシャルのアカウントのフォロワー数は、2日間で1万人しか増えておらず、31日時点で505万人に留まっている。

米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、トランプは合併後のDWACの7330万株を保有することになる。彼の持ち分の価値は30日夜に約9億5700万ドルだったが、31日朝に10億5700万ドル(約1400億円)にまで上昇した。

株価の上昇が続けば、トランプはさらに大きな利益を得ることになる。合併契約書によると、合併後の会社の株価が一定期間15ドル以上で推移すれば、トランプは推定1280万株のボーナス株を受け取ることになる。そうなると、トランプは追加で1億9200万ドル以上を得ることになる。

しかし、トランプが実際にその報酬を手にできるかどうかは、まだ定かではない。SECや司法省、金融当局はすべて彼のベンチャー企業を調査しており、DWACはすでに合併予定日を3回延長し、2週間前にはCEOを解雇した。

さらに、仮に合併が実現したとしても、同社の株価はその後、簡単に暴落する可能性がある。DWACの株価は、2021年10月にトゥルース・ソーシャルとの合併を発表した後に、175ドルに急騰したが、現在は10ドル台にまで下落している。

そして、トランプが仮に有罪判決を受けた場合に、どのような影響がおよぶかも不透明だ。DWACとトランプ・メディアとの合併契約で、前大統領の所有権とベンチャー企業における役割は「重大な破壊的事象」が発生した場合でも継続できると明記されている。それは、トランプが次の大統領選に出馬を宣言するか、個人的に重罪を宣告されるかの2つのうちの1つであると定義されている。

前者はすでに起きている。そして2つ目も起こるかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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