2023.04.02 12:00

雨の中でタイムアタック。軽EV「日産サクラ」は意外な安定感

ただ、ショートサーキットのコンディションはあいにくの「ウェット」だったし、雨用のタイヤは用意されていなかったので、COOも少し心配のご様子だった。僕もはっきり「え〜、軽のEVで、普通のタイヤで全開でタイムアタックやるの?」と疑問を抱いた。しかし、僕らメディアの参加者は、通常の15インチのブリッヂストン・エコピアのエコタイヤのグリップ性に頼るしかなかった。

昨年、青空の下で初めて乗った時は、エコピアのタイヤで十分なグリップ力と、乗り心地は良いと感じたけど、果たしてウェットな路面でどうなるのか。やはり、昨年の日本の最優秀車賞「カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得したサクラの車重は軽い1080kgでルーフが1.6m以上と高いハイトワゴン。比較的、高重心なので、高速でのコーナリング性能はそれほど良くないだろうと予想。

何台ものサクラが「攻め」ていたが安定した走りを見せていた。何台ものサクラが「攻め」ていたが安定した走りを見せていた。

ストレートでは力強いEVの走り。ストレートでは力強いEVの走り。

だけど、実際走ってみると、エコタイヤのウェット路面でのグリップ性は思っていた以上に高かったし、背は高くてもサクラはあまりロールしないし、かなり安定していたのにびっくり。なんだ、雨でも意外にコーナリング性能がいいじゃないか。

15人ほどのモータージャーナリストが参加したイベントだったけど、グプタCOOの競争心は強い。元日本のチャンピオン・レーサーでジャーナリストもしている中谷明彦選手が出した44.5秒の最速タイムに対抗して、グプタCOOは1周めで48.3秒を叩き出した。

1周めではタイヤの空転を制御するトラクション・コントロールをオンの状態で走ったけど、2周めはトラコンをオフにして、タイムアタックしたら、47.7秒と速くなった。ちなみに、僕は46.2秒で、自分の最速タイムは参加メンバーの半ばほどのタイムだったので、少しは満足している。僕の体重が中谷氏より20キロ重いことを言い訳にしているけど(笑)。

「やはり、こういう雨の日にサーキットを全開で走ることは非常に珍しい経験なので、とても良い勉強になった。サクラは安定していますね。これからさらにドライビング技術を磨いていきたい」とグプタCOO。

雨の中のタイムアタックは誰も喜ばないと思うけど、クルマの限界まで走ってみるもんだね。そうすると、意外な安全性を発見することがある。

EVの場合は、航続距離、バッテリーの持ち、充電問題などはあるけど、実際このようにスポーティに走ってみると、EVの加速性の良さと、低重心から生まれる安定性がつくづく伝わってくる。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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