国内

2023.04.01

THCOとHHCOが規制対象へ 危険性とリスクは?

Getty Images

3月9日、指定薬物部会(厚労省:薬事・食品衛生審議会)が開かれました。

いくつか他物質も指定されましたが、カンナビノイド(大麻成分)ですと、THCOとHHCOが規制対象となり、3月20日から違法となっています。

今回はTHCOやHHCOに代表される半合成カンナビノイド、また現在市場に出回りつつあるマイナーカンナビノイドに対する扱いについて書かせていただきます。

サイコアクティブなカンナビノイドとは

そもそもカンナビノイド(大麻成分)は100種類以上あり、有名な成分はCBDとTHCですが、他にもたくさんの成分が存在しています。

今回規制されたTHCOやHHCOはカンナビノイドとしてはこれまで注目されておらず、また大麻草成分としては存在しない、カンナビノイドをもとに作られた新規成分、いわゆる半合成カンナビノイドです。

日本の薬物規制においては、カンナビノイドに限りませんが、成分として体内に入れたときに中枢作用や向精神作用が現れるもの(サイコアクティブ)は日本では指定薬物として取り扱われることがほとんどです。ちなみに上記のCBDは中枢神経系への作用はないとされ、THCは有するとされています。

これまでTHCOやHHCOはサイコアクティブでありながら、規制がされていない脱法成分として存在し、約半年前から日本でも喫煙用のリキッドや食品などで使われていました。

ところで、この流れをみて2000年代に流行した「脱法ドラッグ(危険ドラッグ)」の事件を想起される方も少なくないのではないでしょうか。

危険ドラッグはまだ世の中にない成分を、既存の薬物や化合物の構造を少し変えて生成したものを、人々が中枢神経系への作用(サイコアクティブ)を目的として使用しているうちに厚労省が指定薬物として指定、だからその規制逃れのためにまた似ている違う物質にしていく、といういわゆる「いたちごっこ」となっていき混沌としていきました。

最終的にはこういった薬物は人には到底扱えないほど毒性の強いものと変容してしまいこの流れは一時的に収まりましたが、これまで注目されて来なかった、大麻草にごくわずかしか含まれない成分であるマイナーカンナビノイドや、今回のように新しく作られた半合成カンナビノイドは、薬物としては指定されていなかったので、似たような状況となっています。

繰り返しになりますが、マイナーカンナビノイドは大麻草に微量しか含まれません(また、日本では成熟した茎と種から得られた成分しか合法ではありません)。

微量しか含まれない成分を集めるのは大変高価になるので、他のカンナビノイドから合成(半合成)して、微量しか取れないマイナーカンナビノイドを人工的に作っているという形をとって販売しています。またその副産物として、今回指定されたような半合成カンナビノイドも合成され、市場に出回っています。

これがどのような問題を孕んでいるかについて説明します。

※ちなみにサイコアクティブなカンナビノイドの流行と規制は約1年前、HHCからはじまりました。HHCはマイナーカンナビノイドでサイコアクティブな作用のある成分でした。こちらも本来大麻草に微量しか含まれていなかったものをCBDなどをもとに半合成して大量に作ったものが、日本国内に輸入され、業者らによって流行した結果、上市から半年程度で規制されました。
次ページ > 人体に対する安全性

文監修・野崎千尋 早稲田大学理工学術院 准教授

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事