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2023.04.01

THCOとHHCOが規制対象へ 危険性とリスクは?

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アメリカでのサイコアクティブの隆盛

他方で、アメリカでは、サイコアクティブに対するビジネスの盛り上がりがあります。現在ではマジックマッシュルームから取ることのできる成分のシロシビンや、LSDやMDMAなど日本では禁止されている物質をマイクロドーズ(ごく微量の継続的摂取)することで、健康に寄与するのではないかという研究と実証実験が盛んに推進されています。

アメリカで行われるビジネスやカルチャーの祭典SXSW(サウスバイサウスウエスト)でも、これらのサイコアクティブの企業や研究者らによるプレゼンテーションやビジネスの勃興、隆盛の声が聞こえてきています。

しかし、これらについてもまだまだ問題は山積していますし、彼らはあくまでビジネスとして投資を受けて合法的に研究を行っています。

これらは日本のサイコアクティブの現場とはレベルも目的も全く異なります。

弊社も銀行からの融資や、投資家からの投資を受けてスタートアップとして企業を運営していますが、サイコアクティブを日本で進めることはあらゆる面から適切でないとして扱っていません。

こういった判断が一般的には常識なのですが、カンナビノイドを扱う業者からするとおかしく映るようです。日本で大麻取締法の改正どころかまともな議論さえ、これまで行われてこなかった証左かもしれません。

サイコアクティブなカンナビノイドの今後

これから規制されるであろう物質も、サイコアクティブ(中枢神経系への作用があるもの)なものである限りいずれ規制される可能性が高く、そういった代物を扱うこと自体がリスクとなります。

しかし上記に書いたように、一時的にでも合法である場合(実際には合法ではなく「違法というレッテルが貼られているわけではない」というだけなのですが)、大麻草を使うリスクに対してサイコアクティブなカンナビノイドを購入する方がいます。中には何らかの悩みが解決している方も見受けられるので判断は非常に難しいのですが、そういった消費者の悩みを逆手にとって、短期的な営利のためにリスクの説明もなく販売するような業者については特に糾弾されても仕方がないと思います。

多くの一般の方がいる中販売したり、実店舗で性暴力の危険性などがあれば、厚労省からして早期に取り締まりの対象になることも自明だと思います。

脱法半合成カンナビノイドは、その脱法性から、アングラではなく表でビジネスとして進めていること、いずれ規制されるまでの短命のビジネスを進めていること、ヒトへの安全性が確立されていないこと、にも関わらず「カンナビノイド(や大麻解禁)のため」「世のため人のため」と大義名分を掲げて普及や啓蒙を進めていること、それらは許されるものではないと考えます。

このようにサイコアクティブなカンナビノイドに関わる事業者の自浄作用がないことが今後の課題であると思います。

文監修・野崎千尋 早稲田大学理工学術院 准教授

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