人体に対する安全性
CBDやTHCはメジャーなカンナビノイドであり、昔から研究が進められています。もちろんまだまだ足りないとは思いますが安全性試験も行われています。私はワンインチという会社を経営していますが微力ながら倫理委員会を通してUMINに登録してCBDの安全性試験を実施し、学会発表や論文掲載をしたこともあります。そのようないわゆる安全性試験は、今回指定薬物になるようなサイコアクティブなマイナーカンナビノイドや半合成カンナビノイドでは行われておりません。
人体への影響がどのようになるかが短期でも長期でもわからないものを取り扱い、アングラではなく表に出て販売がされているということに大きな危惧を覚えます。
それだけでなく、クオリティについてもブラックボックスの状態で、どのような混ぜ物がされているかもわからず、扱いとしては未だに食品でも化粧品でもないため、衛生面でもどのような場で作られているかわかりません。
特に今回指定薬物で規制されたいわゆるO系については気化させる過程でケテンが発生し、VAPE関連肺炎のリスクがあることをわかっていながら、多くの事業者が警告もせずに販売したことについては遺憾に思います。 実際に、THCOなどのサイコアクティブなカンナビノイドの製品を購入して病院に搬送されたケースを数人の医師から報告を受けており、状況は深刻であると考えます。
また、今回のようにTHCOやHHCOが規制されると今度はまた異なるサイコアクティブなマイナーカンナビノイド/半合成カンナビノイドに変わるか、もしくは再びこの世に存在しない類似カンナビノイドができていき、「危険ドラッグ」時代のいたちごっこが再来するかもしれません。
搬送者がでていることからもわかる通り、最終的に不利益を被るのは消費者です。
アングラで販売されているのならば購入者も違法性が高いことを織り込んでいるので仕方ない側面もありますがオープンにbaseやstore.jpのプラットフォームやメルカリ、楽天やAmazonで買うことができる状況は非常にまずい状況だと思っております。
正直プラットフォーマーやカード決済会社にもその責任の一端はあると思っています。
なぜサイコアクティブなカンナビノイドは売れるのか
この記事で初めてサイコアクティブなカンナビノイドを知った方は「一体なぜこんな成分が流行るのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。すでに規制されたHHCを新宿の路上で販売していた方に長蛇の列ができるように一部では熱狂的な支持があります。これには理由があります。
周知の通り、日本では大麻草の所持は大麻取締法により違法です。
法的なリスクを考えると大麻草全草の使用に似た効果をサイコアクティブなカンナビノイドで代用できる場合、逮捕される法的リスクと、サイコアクティブなカンナビノイドを使う安全性リスクとを天秤にかけたときにそちらを購入するという行動になっているのだと推測します。
上記にあるようにサイコアクティブなカンナビノイドの使用により病院に搬送されている人もいる一方で、何等かの悩みやペインが解決しているという感想もSNS等では散見されます。
このように実際に救われていると感じている方が消費者の中にはいることを考えると一概に絶対悪として判断するのは尚早だと考えますが、厚労省の解釈では「中枢神経系への作用があるものは薬物の可能性とする」としていますのでいずれ違法になってしまう可能性のあるものを扱っているという認識は販売側も購入者側も持っていただきたいと考えます。