杭州に本社を置くアリババが創業24年という歴史の中で最も大きな改革と呼ぶ今回の再編はすでに進行中だとダニエル・チャン(張勇)会長兼CEOは3月30日午前中に行われたアナリストとの電話会議で述べた。チャンと他の幹部は、アリババがもはや6社の事業運営者になることはないと主張した。その代わりに、各部門はそれぞれにCEOを置き、取締役会を持つ。アリババは少なくとも初期段階では経営権を保持する見込みだが、後に出資比率を減らすかどうかを決める必要がある。
「アリババは各社の支配株主である持ち株会社になる」とチャンは電話会議で述べ、Eコマースからクラウドコンピューティング、スマート物流まで、分割した事業の全体で相乗効果があり続けるだろうと説明した。
この再編計画により、各部門は外部からの資金調達を模索することで価値を創造することができるため、再編計画を歓迎している投資家は複数の新規株式公開(IPO)から利益を得るという可能性に興奮しているようだ。また、各部門が独自に意思決定できるようになるため、市場機会への迅速な対応が可能になる可能性もある。アリババの株価は3月29日に14%以上急騰した後、30日に香港市場でさらに2%上昇した。
再編計画の最も明らかな利点は、長年の規制の重荷を取り除くのに役立つことだ。アリババは2021年に独占的な慣行で過去最高の28億ドル(約3730億円)もの罰金を科されたが、今回の分割は同社が大きくなりすぎて市場影響力を持ちすぎるという独占に対する懸念を明らかに認めたものだ。再編の発表は同社の共同創業者である富豪ジャック・マー(馬雲)が杭州に戻ったタイミングと重なっている。これは、かつて歯に衣着せず発言していた大物経営者がこの計画を全面的に支持したことを示唆していると、香港のEverbright Securities(エバーブライト・セキュリティズ)の証券ストラテジスト、ケニー・ンは話す。
「もしジャック・マーが杭州にいなかったら、市場はマーがこの大きな再編を知らなかったのではないか、あるいは賛成していないのではないかという疑念を抱いていたかもしれない」とンはいう。「マーの登場はまた、アリババあるいは他の民間企業でも現在、規制当局の方針をしっかり遵守していることを示している」とも指摘した。