EXILE HIROが考えるアーティストのブランディングと地方創生|クレイ勇輝

クレイ 社会貢献の原点が2010年から見えてきますね。

HIRO 僕たちは2003年からダンススクール「EXPG STUDIO」を運営していて、いまは国内では12ヵ所、海外では台北、上海にも展開しています。地域のお祭りにキッズダンサーが参加し盛り上げるお手伝いをさせていただくなど、スクールごとに様々な活動をしています。こういう部分ではすでにSDGsが掲げている「質の高い教育をみんなに」「すべての人に健康と福祉を」といったことに取り組めていたと言えるかもしれません。

クレイ 他にも小学生のフットサル大会「EXILE CUP」や、中学校で必修科目になったダンス授業で使う映像教材を製作して文科省の選定も受けていますね。

HIRO 「EXILE CUP」は小学4年生から6年生を対象にしたフットサル大会で、2010年に開催したスタジアム・ツアーと連動してスタートしました。

映像教材は、2018年の春に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で修士課程を修了した、EXILEメンバーであるTETSUYAが監修してくれました。

いま中学校ではダンスが必修科目として授業に導入されていて、先生が生徒に教えるプログラムがあるんですが、その、先生のためのダンス講習を福岡市や渋谷区などで行いました。いまも他の自治体から「教えてほしい」というお声をかけていただいているんです。僕たちが持っているノウハウ、スキルはどんどん提供したいと思っています。ただ、限られた数のスタッフでやっているため、人手が足りなかったり力不足を感じていましたが、とても有難いことに昨年11月に「東京ガールズコレクション(TGC)」を企画・制作しているW TOKYOさんとパートナーシップを組んだことで、今後は活動の幅を広げられそうです。

クレイ この連載の第5回でW TOKYOの村上範義社長にご登場いただきました。

村上社長はTGCをファッションイベントから、SDGsや地方創生の要素を取り入れ、社会や環境分野で起きている課題を発信するイベントにアップデートして、しかも東京以外の地域にも出て行くようにしました。活動を点ではなく線、面へと繋げていますよね。

HIRO 僕たちはいままで、「(LDHは)社会的な活動をしています」と世にアピールするのはどうかな、と思っていました。ところがW TOKYOさんはむしろそれを前面に出している。実はそうすることで効果が何倍にもなるんだと知りました。

2月11日に和歌山市で行われた「TGC 和歌山 2023」からは、自治体とコラボしながら社会貢献とSDGs推進を目指す取り組みを始めています。エンタメの力で全国を盛り上げる活動が、より大きな規模で行うことが可能になったんです。

僕たちはこれまで点としての活動は行ってきましたが、そのアピールが下手でした。いろいろな活動を束ねたり、繋げていくというビジョンが欠けていたのだと思います。それをW TOKYOさんに教えていただきました。

クレイ HIROさんのお話の中で感じたのは、エンタメが持つ力についてです。

小さなところからひとつひとつ夢を実現していってLDHは大きくなった。そして次にやりたいことをさらに増やしていった。社会貢献の活動も同じで、多くの人を幸せにしたい、その輪を大きくしたいとは思うけど、それには人手やお金が必要になる。そういう悩みはヒットソングやスターが生まれることで解決するんですよね。エンタメで力を付けることで、できる活動が増えていく、そんな気がします。

HIRO これはもう本業を突き詰めていくしかないと思っていますが、大ヒットを作らなくてもやれることはあります。そこは知恵を絞っていきたいと思います。
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撮影 = 岡田清孝

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