コンクリート製の対戦車障害物、塹壕、地雷原、大砲の照準が合わせられたキルゾーンといったこれらの防衛は現在、ウクライナの東部と南部に点在している。投入されているロシア軍は志願兵、召集兵、傭兵、ウクライナの分離主義者で構成される。おそらく全部で15万人ほどで、その多くがこれらの要塞の後ろに待機している。修理されたT-62戦車が列車で運ばれ、到着しつつある。旧式のT-55戦車も向かっているかもしれない。
攻撃にともなう損失は大きかったが、それでも防衛で戦うことはできる。地雷原を越えて前進し、塹壕を突破するより、塹壕を掘って現れた攻撃者を撃つ方が簡単だ。
ウクライナ軍の最も優秀な旅団が攻撃をリードするのはほぼ間違いない。第92、第93機械化旅団と第4戦車旅団、そして10の空中強襲旅団には最精鋭揃いの第80空中強襲旅団が含まれ、この旅団はおそらく空挺兵部隊の中で最初にT-80BVをチャレンジャー2に交換するだろう。
チャレンジャー2はディーゼルで動く戦車だ。最高速度は時速37マイル(約60キロ)で、時速50マイル(約80キロ)のT-80BVより少し遅い。しかし、重量71トンのチャレンジャー2は同43トンのT-80よりもはるかに防御力が高い。120ミリのライフル銃と高度な射撃統制を備えており、125ミリの滑腔砲を持つT-80よりも遠くの標的をより正確に狙える。
チャレンジャー2はT-80のように高速道路を駆けることはできないかもしれない。だが、敵の攻撃をかいくぐり、要塞を突破するのであればよりタフな戦車がいいだろう。たとえ速度が遅くてもだ。
これからの戦いは厳しいものになる。そのため、ウクライナ軍の空中機動軍がより装備を強固なものにするのは理に適っている。難点を挙げるとすれば、14両のチャレンジャー2、40両のマルダー、90両のストライカーはすべての空中強襲旅団に配備するには少なすぎるということだ。第80空中強襲旅団と、おそらくベテランの第25空中強襲旅団の一部を再武装させることはできるかもしれない。
しかし、予想される反撃の前にすべての空挺兵部隊を強化するためには、ウクライナ軍にはもっと多くの、現在の5倍あるいは6倍の西側諸国製の軍用車両が必要だ。
(forbes.com 原文)