「セザン」では、ソースの作り方などにはクラッシックな技法を使いながらも、日本料理の技法も学び、フランス料理で培った緻密な構成力に、日本のカウンター会席のような出来立ての瞬間の温度感や食感、香りを生かすなどして、日本食材の新たな面を引き出す料理を提供している。
オープンからわずか1年半という短さでありながら、2022年にミシュラン2つ星、2023年のゴエ・ミヨでも「明日のグランシェフ」に選ばれるなど、注目を集めている。
「職人技と言いたいほどに、手間ひまかけて生み出された日本の食材の魅力にひかれて、いつか絶対に日本に住みたいと思ってきました。日本一という結果は予想以上のもので『自分達が日本一のレストランだ』と真顔で言うことはできませんが、多くの方々に楽しんでいただけていることをとても嬉しく思います。チーム全員のハードワーク、ゲストの皆様のサポートに心から感謝しています」とカルバート氏。
緻密な手仕事を厭わず「手間のかかる仕事をするのがプロの料理人」という生真面目な性格を裏付けるように、「厨房に戻って、来てくださった方々を幸せにし続けること、それを楽しみにしています」という言葉を残し、翌日のランチの仕事に間に合うよう、アワード直後に深夜便で帰国した。
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増えゆく“美食の旅先”
50位以内には、新規リスト入りした店が7軒。再エントリーを果たした店が8軒で、合計で19都市のレストランがランクインした。30位の「アヴァルタナ」(インド・チェンナイ)、40位の「アナン・サイゴン」(ベトナム・ホーチミン)、48位の「メティズ」(フィリピン・マカティ)、注目のレストランであるワントゥーウォッチ賞に「オーガスト」(インドネシア・ジャカルタ)など、これまで美食の旅先としてあまり考えられてこなかった国や都市が入っているのも興味深い。