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海外

2023.04.01 09:00

時給労働者の給与即時支払いサービス、米Rainが150億円超調達

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4年前に設立され、時給労働者が勤務の終了後すぐに賃金を受け取れるサービスを提供している米フィンテック企業「Rain(レイン)」(本社ロサンゼルス)は、エクイティ(株式)とデット(借入)を合わせて1億1600万ドル(約154億円)を調達したことを明らかにした。エクイティが6600万ドル、デットが5000万ドルで、評価額は2億5000万ドル(約330億円)に達している。


今回の資金調達は、フィンテックに特化したVC(ベンチャーキャピタル)のQED InvestorsとInvus Opportunitiesが主導。他に、WndrcoやTribe Capital、俳優のウィル・スミスとサッカーの元日本代表の本田圭佑らが共同創業した投資会社のDreamers VCが参加した。

米国では貯蓄が少ない人は、給料日前に現金が足りなくなり、最低預金残高を下回ったことによる手数料を課せられる可能性がある。また、ペイデイローン(給料を担保にした短期ローン)を組んだり、クレジットカードの残高を繰り越すと高い金利を支払わなければならない。

ペイデイローンに代わるサービスとして台頭した給与の即時アクセスサービスとしては、レインの他にFlexWageやPayActiv、DailyPayなどがある。これらの企業は、利用者の銀行取引履歴を確認し、その情報をもとに将来の収入を予測して給与の前払いを行う。

レインの共同創業者でCEOのアレックス・ブラッドフォードによると、同社はニューヨークに本社を置くヘッジファンドSound Point Capital Managementが用意したデットファシリティ(与信枠)を用いて給与の前払いを行っている。雇用主の手数料は無料で、従業員は前払いを受けるたびに平均3ドルの手数料をレインに支払う。前払い金の受け取りを翌日にすれば、手数料は発生しない。

レインの主要な競合相手であるDailyPayは、レインと同等の手数料を従業員に課すとともに、自社が発行するデビットカード「Friday」をユーザーが使用した際に加盟店が支払うインターチェンジフィーから収益を得ている。ブラッドフォードによると、レインも独自のカードをリリースする予定という。

デジタルバンクのChimeは昨年、20億ドルでDailyPayを買収しようとしたが、DailyPayはこの提案を拒否したと報じられている。この件について両社にコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。

ブラッドフォードは、レインを導入することで企業は従業員の離職率を下げると同時に、より多くの求職者を集めることが可能だと考えている。現在、マクドナルドやタコベル、アップルビーズ、マリオット、ヒルトンが同社のサービスを利用している。2020年3月のサービス開始以来、レインによる給与の立て替え払いの総額は1億5000万ドルを突破した。

ブラッドフォードによると、従業員はレインのアプリを1日に複数回起動し、自分が稼いだ金額をほぼリアルタイムで確認しているという。同社は現在、給与の即時支払いに特化しているが、今後は医療貯蓄口座などの他の金融商品にも参入する計画だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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