念のためにいうと、世界の天文台が太陽系外の惑星を発見したのは、これが初めて……というにはほど遠い。過去数十年間に何千個も発見されている。
しかしそのほとんどは、恒星の前を惑星が通過したり、惑星が恒星をそっと引っ張ることによって、遠方の恒星から届く光がわずかに変化するところを測定することによって発見されたものだった。天文学者が太陽系外惑星から届く光を直接観察したこともあるが、概してそれはずっと大きな巨大ガス惑星だ。
これは地球に似た太陽系外惑星が発した光を直接検知した初めての例であるとウェッブ・チームは報告している。そしてそれが重要なのは、この方法による測定は、彼方に別世界があることを知らせるだけでなく、惑星、さらにはそこに地球外生命がいる可能性についても詳しく教えてくれるからだ。
惑星の昼側の温度比較を表したインフォグラフィックス。地球、トラピスト1bおよび水星の測定値とトラピスト1bの2種類のモデルによる計算値(Illustration: NASA, ESA, CSA, J. Olmsted (STScI))
今回観測された惑星「Trappist-1b(トラピスト1b)」は、赤色矮星「Trappist-1(トラピスト1)」の最も近くを周回している。
数年前にトラピスト1系が初めて発見されたとき、天文学者たちが騒いでいたことを覚えているかもしれない。それは複数の岩石質で地球サイズの惑星が、恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)を周回してると考えられたからだった。
「一連の観測は、ウェッブの中赤外線機能をフルに活用したものです」とNASAエイムズ研究センターの宇宙物理学者で、3月27日にNatureに掲載された研究の主著者であるトーマス・グリーンはいう。「これまでの望遠鏡でこのような暗い中赤外線を測定できる感度を持つものはありませんでした」