腐らず「前向きなスタンス」が監督の心を動かす
そんな渡邊に、3月終盤にチャンスが回ってきます。クリーブランドキャバリアーズとの2連戦に1戦目も2戦目も前半から出場し、それぞれ10分程度プレイタイムが与えられました。
1戦目はキャバリアーズのエース、ドノバン・ミッチェルに目の前からダンクをされてしまう場面もありましたが、2戦目もヴォーン監督は渡邊にチャンスを与えました。渡邊に改めてプレイタイムを与える決断をした背景に、ヴォーン監督は「しばらくプレーしていなかった間も渡邊はベンチで誰よりもチームに貢献しようと努力していた」と渡邊の姿勢を評価していました。
そんなヴォーン監督の期待に応えるかのように、2戦目も1Qからコートに入り、ディフェンスで相手からボールを奪い、速攻で自らダンクを決めるシーンを作りチームの流れを変えるプレーを見せてくれました。試合には惜しくも敗れてしまったものの、渡邊がコートにいる時間はチームのディフェンスも良く監督にアピールできたと思います。
今回チャンスが回ってきた状況に渡邊も「自分が試合に出ないから不貞腐れてチームの士気を下げるようなことだけは絶対したくなかった。そういうところも含めてコーチは見てくれるんだっていうのはちょっと嬉しかったです」と話していました。
NBAは実力主義の世界なので、試合に出ていない時でもチームのために貢献しようとする姿勢が評価される選手は決して多くありません。
そもそも普通の選手であればいきなりローテーションから外れるのは受け入れがたく不貞腐れたり、場合によってはチームに悪影響を与える例は数々あります。
過去シカゴブルズでマイケルジョーダンの2番手としてプレイしていたスコッティ・ピッペンでさえ、チームの戦術に腹を立てて、試合の重要な場面でコートに出ることを拒否したほどです。
また渡邊が素晴らしいのは、試合に出れない日が続いていきなりコートに立ったとしても、活躍できるということです。そのために準備は欠かさずしているとインタビューでも話していますし、そういう姿勢こそがプロ中のプロだと感じます。
ブルックリンネッツは、このコラムを書いている2023年3月28日時点ではEASTの6位。
6位ならプレーオフ進出確定、7位以下ならプレーインからプレーオフ進出を目指さないといけないため1戦も落とせない状況です。その緊迫した中で渡邊がどのように起用されるのか、残り少ないシーズンの中で大注目です。
今回は、ブルックリンネッツに加入し天国も地獄も味わった渡邊雄太の近況をお届けしてきました。僕らも渡邊雄太のような決して諦めないスタンスを大事にしていきたいですね。僕らと一緒に渡邊雄太を応援しませんか?
連載:まっつん&しゃっくの素人NBA入門塾