宇宙

2023.04.02

ロケット燃料はプラスチックごみ?!【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#17】

伊東せりか宇宙飛行士と考える「地球の未来」#17

宇宙が地球の暮らしを豊かにする

せりか:Skyroraが掲げるミッション「To realise the tangible benefits of responsive access to, and responsible exploration of space for the increased well-being of life on Earth(宇宙への迅速なアクセスと責任ある探査がもたらす利益を実現し、地球上の生命の幸福度を高める)」にも、未来に責任を持とうとする姿勢が現れていますね。ところで、Skyroraはどのような経緯で創業した企業なのでしょうか。

デレクさん:Skyroraは2017年6月に創業した若い会社です。Skyroraの創業者兼CEOのヴォロディミル・レヴィキンはウクライナ出身で、ウクライナのロケット技術を活かせると考えて創業しました。

せりか:旧ソ連時代のロケット開発の第一人者とも言われる技術者セルゲイ・コロリョフもウクライナ出身だと知られています。ソユーズロケットの開発にはウクライナ出身のエンジニアも多く参加していて、ウクライナはロケット開発の技術が蓄積しているそうですね!

デレクさん:そうですね。先ほどせりかが紹介してくれたSkyroraのミッションは、自然と考えられたものなんです。ロケットが打ち上げた衛星は、温室効果ガスの排出量を観測したり、オゾン層の保護にも役立てられたりしていますよね。それが結果的に人々の暮らしや環境を豊かにすることに繋がっています。

せりか:確かに衛星が観測したデータは地球環境の保護に役立てられていますね。衛星だけでなく、人々も宇宙に行くべきだと考えますか。

デレクさん:会社への質問なのか、私自身への質問なのかでも回答が変わる質問ですね。どちらにしても、人類が宇宙に進出していくことは良いことでしょう!新たな技術が生まれたり、セリカがISSで研究をしていたように医学研究に貢献したりしています。しかし私たちは同時に、責任についても考えています。どれだけ貢献していても、大量の温室効果ガスを排出したり、あるいはスペースデブリを発生させてしまったりしていては全く意味がないですよね。

もう一つの宇宙を目指す理由は、純粋に宇宙に何があるか知りたいし、美しい星をもっと見たいからです。人間には探究心が根付いていますよね。

スコットランド流、ローカルコミュニティと進める宇宙開発

せりか:デレクさんはどんなときにやりがいを感じますか。

デレクさん:やはり先進的な技術に携われるのは有意義なことです。例えば、2022年10月にアイスランドの射場から初めてロケットを打ち上げたときは、銀行に勤めていた頃には味わえなかったイノベーションを感じましたね。

Skyroraは2022年10月にアイスランドの射場から試験打ち上げを行いました。惜しくも軌道投入までは至りませんでしたが、次の打ち上げに向けて現在も準備を続けています。

Skyroraは2022年10月にアイスランドの射場から試験打ち上げを行いました。惜しくも軌道投入までは至りませんでしたが、次の打ち上げに向けて現在も準備を続けています。


それから、Skyroraで働いているとコミュニティに価値を還元できるという感覚が強くあるので、その面でもやりがいを感じています。

せりか:それは、どんなコミュニティに対してでしょうか?

デレクさん:例えば、ローカルの住民の皆さんとのコミュニティがあって、「私たちSkyroraがやっている活動についてどう思いますか?」とフィードバックを得られる機会を設けています。先日はマンチェスターで開催された学生のカンファレンスに参加して、エンジニアのたまごの皆さんにSkyroraのことをプレゼンテーションで伝えたり、交流したりしました。
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