欧州

2023.03.29

英国政府が独自のNFT計画を中止、デジタル通貨構想にも打撃

リシ・スナク首相(Photo by Wiktor Szymanowicz/Anadolu Agency via Getty Images)

英国政府は昨年4月、独自のNFTを作成する計画を発表したが、この計画が中止になったことが報じられた。

英財務省は2022年4月、王立造幣局が独自のNFTを発行する計画を発表した。この計画は、当時の財務大臣だったリシ・スナク首相によって熱烈に支持されていた。

しかし、BBCの報道によると、英国政府は長い検討期間を経てこの計画を見直し、財務省はプロジェクトの中止を発表した。

財務省特別委員会の委員長のハリエット・ボールドウィンは、NFTのアイデアを酷評した。「この国の有権者が、このような投機的なトークンに資金を投じるべきであるという証拠は、まだ見当たらない」と彼女はBBCの取材に語っている。

昨年、この計画が最初に発表されたとき、NFTバブルはすでに崩壊の兆しを見せていたが、それから1年近くが経過した今、市場の勢いは完全に失われた模様だ。

NFTは「英国を世界の暗号資産テクノロジーのハブにする」ことを目的とした一連の構想の一部だった。他の取り組みには、ステーブルコインの規制や、暗号資産関連のイノベーションを支援するための「金融市場インフラのサンドボックス」の創設が含まれていた。英財務省はまた、暗号資産の普及を促進するための税制の改革を検討すると述べていた。

しかし、これらの構想はすべて今では暗礁に乗り上げている。

また、今回の計画の中止は、英国のデジタル通貨の創設計画にもさらなる疑念を抱かせるかもしれない。英国の中央銀行であるイングランド銀行のジョン・カンリフ金融安定担当副総裁は、2月の財務省特別委員会で英国が独自のデジタル通貨を必要とする可能性があると述べていた。

「デジタル通貨を望む動機はさまざまだが、基本的な目的の1つには、一般的な支払い目的のためのデジタルのキャッシュの導入が考えられる」と彼は述べていた。

しかし、彼はイングランド銀行に自力でデジタル通貨を立ち上げるスキルがないことを認めていた。「我々は、次のフェーズが終わるまでに、民間のパートナー企業ととともに、スキルを身につけたいと考えている。そして、実用的なプロトタイプを作り、テストを行った後に実装したいと考えている」とカンリフは述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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