同じことがエンケラドゥスでも起きているのだろうか?
ここでいっているのは、目のない不気味な海洋生物のことではおそらくない。なぜなら、この衛星の地下海が維持できる総生物量はクジラ1頭分より少ないと考えられているからだ。
海底にあるシリカの微粒子が、最終的にエンケラドゥスの暖かい南極にある「タイガーストライプス」(トラの縞)と呼ばれる割れ目から宇宙に放出されていることがわかっている。それらの微粒子は土星の外側から2番目の輪であるEリングの形成に寄与している。
しかし、そこには生命存在指標(バイオシグネチャー)が含まれている可能性もある。もし存在すれば、地球以外で何らかの生命の存在を示す初めての証拠になる。
ただしこれまで惑星科学者たちは、そのシリカがどうやって、どれだけの時間をかけて宇宙に到達したのかわかっていなかった。
Communications Earth & Environmentに掲載された最新研究は、NASAの探査機カッシーニが収集したエンケラドゥスの軌道、海および地質学的データを使用してそのプロセスを明らかにした。
論文は、エンケラドゥスの岩石質の核で起きる潮汐加熱が流れを作り、深海にある熱水噴出孔からシリカを運び出すまでに数カ月しかかかっていないことを示している。
「私たちの研究は、その流れが海底から物質を拾い上げ、海と宇宙空間を隔てる氷の核まで持っていくのに十分な力を持っていることを示しています」と研究グループのリーダーで、UCLA(カリフォルニア大学バークレー校)で惑星科学を研究する大学院生アシュリー・ショーンフェルドは声明で述べた。
「氷の核を切り開いて地下の海へと達するタイガーストライプの割れ目は、流れが捕らえた物質を宇宙に送り出す直通路の役割を果たしていると考えられます。エンケラドゥスは海底深く隠れているものの無料サンプルを私たちに与えてくれます」
宇宙に噴出されているシリカを採取するミッションが、NASAによってすでに計画されている。
エンケラドゥス・オービランダー・ミッションでは、衛星の噴出物を採取することに特化した宇宙探査機が1年半ほど衛星を周回する。その後探査機は衛星に着陸して2年間ほど滞在し、地表に舞い戻ってきた(そしてエンケラドゥスをあれほど明るく反射させている)噴出物を採取する。
ミッションの打ち上げは2038年10月(予備日は2039年11月)、到着は2050年を予定している。
(forbes.com 原文)