ロサンゼルス・タイムズのベテラン記者Joe Bel Brunoが運営する新興メディアのThe Intersectは28日、アマゾンがジェフ・ベゾス会長の主導によりAMCの買収を検討していると報じた。これを受け、AMCの株価は一時5.50ドルまで急騰した。
フォックスビジネスの記者のCharles Gasparinoはその後、アマゾンがAMCに関心を持っているが、いかなる形の買収提案も行っておらず「買収が実現しないかもしれない」と報じた。AMCの株価は、前日の終値から13%強上昇し、5.15ドルで取引を終えた。
アマゾンの広報担当者は「当社は噂や憶測にはコメントしない」と述べ、今回の報道を憶測に位置づけた。AMCはフォーブスのコメント要請に応じなかった。
「AMCは50億ドル(約6550億円)もの巨額の負債を抱えており、アマゾンが同社を買収する可能性は極めて低い」と、ウェドブッシュ証券のアナリストのアリシア・リースとマイケル・パクターは、28日の顧客向けメモで述べた。
「アマゾンが米国の映画館チェーンを持ちたいのであれば、AMCではなく、親会社のシネワールドが破産を申請したリーガル・シネマズの劇場を安く手に入れることを狙うだろう」と、ウェブドッシュのアナリストは述べている。
アマゾンの株価はこのニュースの影響をほとんど受けなかったが、AMCと密接な関係にある2つの企業(AMCの大家であるEPRプロパティーズと映像技術のパートナーのIMAX)の株価は、買収の期待からそれぞれ3%以上上昇した。レイモンド・ジェームスのアナリストのRJミリガンは28日のメモで、この買収が商業不動産ビジネスの懸念を沈静化し「EPRに大きな収穫をもたらす」と述べた。
ブルームバーグは昨年11月、アマゾンが毎年10億ドルを投じて、年間約12本のオリジナル映画を劇場公開する計画であると報じていた。一方、AMCは過去12四半期のそれぞれで1億ドル以上の損失を出しており、パンデミックの初期の2020年に倒産の危機に瀕したが、翌年のミーム株ブームで株価を600%以上急騰させ、少なくとも一時的に危機を脱していた。
(forbes.com 原文)