アダニ・グループの中核企業Adani Enterprises(アダニ・エンタープライゼズ)の株価は28日午後の取引で約7%下落し、他の傘下企業の株価は約5%下落した。
インドのビジネス専門メディア、The Ken(ザ・ケン)は調査報道で、自社株式を担保に借り入れた21億5000万ドル(約2820億円)の融資を返済したという同グループの今月中旬の主張を疑問視した。
ザ・ケンは証券取引所に提出された書類を引用しながら、アダニが借り入れの際に担保にしたグループ企業の株式のかなりの部分がまだ銀行から放出されていないと指摘。この事実はより多くの株式を担保にすることを避けるために融資の一部のみが返済されたことを示しており、これが「 広報資料で不正確に伝えられている」と主張した。
これとは別に、インドの経済紙エコノミック・タイムズもアダニ・グループがセメント会社のACCとAmbuja Cements(アムブジャ・セメント)を買収する資金として昨年借り入れた40億ドル(約5240億円)相当の融資について、条件の再交渉を模索していると報じた。
同紙は「現在進行中の交渉を知っている」という複数の情報源を引き合いに、アダニ・グループは30億ドル(約3930億円)のつなぎ融資の期間を18カ月から5年以上に延長するよう交渉しており、また10億ドル(約1310億円)相当の返済順位が後になるメザニンローンの期間も24カ月から5年に延長しようとしていると報じた。
フォーブスの推計では、アダニ・グループの創業者で会長のゴータム・アダニの現在の純資産は461億ドル(約6兆340億円)で、世界の長者番付で24位だ。アダニの資産は過去24時間で42億ドル(約5500億円)も減った。かつてアジアで最も裕福で、世界でも3番目に裕福だったアダニの1264億ドル(約16兆5440億円)の資産は過去2カ月で3分の2近くが失われた。
アダニ・グループ傘下企業の株価の変動はここ数週間、比較的穏やかで、わずかに回復さえしていた。同グループは、ヒンデンブルグが1月に「数十年にわたる恥知らずな株価操作と会計詐欺」を行ってきたと非難する報告書を発表してから不正疑惑の渦中にあった。報告書の発表と同時に、ヒンデンブルグは同グループ傘下企業の株式に対してショートポジションを建てたことも明らかにした。
アダニ・グループはヒンデンブルグの主張を激しく否定し、インドと同国の制度に対する攻撃だと主張して民族主義的な熱意を利用しようとさえした。
(forbes.com 原文)