「オゾン療法を受けたことがあります。直腸的に」
文末に「直腸的に」という言葉を付けるのは、そうそうないあることではない。パルトローは、具体的にどんな効果があったのかを明かさないまま、「とても役に立った」と語った。
この発言は多くの人の関心を集め、SNSには懐疑的な見方を示すコメントも数多く投稿された。直腸オゾン療法を宣伝するウェブサイトでは、その効能として「腸と体内の毒素を減らす」や「免疫力を高める」、「細菌や寄生虫、ウイルス、酵母菌を殺す」とうたっている。だが、こうした効果を裏付ける科学的証拠はあるのだろうか?
オゾンとは何か?
米オハイオ州の医療機関クリーブランド・クリニックはウェブサイトで、オゾンは「液体、または固体の状態では非常に不安定で、爆発の可能性がある」と説明している。直腸に関連のある話のなかで、「爆発」はあまり聞きたくない言葉だ。直腸オゾン療法では、ガス化したオゾンを使用する。これについてクリーブランド・クリニックは、「潜在的に、健康の維持に役立つ可能性がある」と説明している。あくまで「潜在的」な「可能性」だ。
オゾンには「抗酸化作用や抗炎症作用があり、細胞への酸素供給を促進する可能性がある」というのが、この療法の考え方だ。酸素分子(O2)にもうひとつの酸素原子(O)が加わったのが、オゾ分子(O3)だが、これら2つは同じものではない。
関連情報を提供するウェブサイトのなかには、「私たちの細胞には酸素が必要だからこそ、長く息を止めていれば死に至る」ことを強調するなど、単純化した主張を展開するものもある。ただ、いくら酸素が体に必要なものでも、必ずしも「オゾンもそうだ」ということにはならない。