研究結果が示すのは?
医学分野の最大規模のデータベース「PubMed(パブメド)」で直腸オゾン療法を検索してみると、約70本の論文がヒットする。決して多いとはいえない数字だ。研究結果には、オゾン療法が傷や潰瘍の治癒を促すものかどうか、線維筋痛症の症状緩和に役立つのかどうか、ヒトの虚血性心疾患の治療に有用なものかどうかを調べたものなどが含まれている。
だが、これらの中には、実験のデザインが十分に練られているとは言えないものもある。また、多くはラットを使った実験の結果だ。ラットに起きたことが、人間にも起きるとは限らない。要するに、この療法に関する科学的根拠は今のところ十分ではない。
オゾンは潜在的に危険な物質だ。実際に米食品医薬品局(FDA)はオゾンを、有毒ガスであり、「医療上、特異的、補助的、または予防的な治療に有用なものとしては知られていない」と説明している。
吸い込んでしまった場合、オゾンはさらに危険なものとなる。血液の液体成分が肺胞内に滲み出し、命を脅かす危険もある肺水腫を引き起こすなど、肺に深刻なダメージを与える危険性がある。
パルトローとグープが、十分な科学的根拠に基づかないものを紹介するのは今回が初めてではなく、筆者は以前にも記事で取り上げている。
ある療法について、医療の専門家でも科学者でもない著名人が十分な科学的証拠を示すことなく何かを主張するときには、まずは疑ってかかること。特に、その人が具体的にどのような利益を得たのか説明しないようなときには、うのみにすべきではない。
その人が実際には何を売り込もうとしているのか、その発言によって報酬を得ているのかどうか、私たちにはわからないことが多い。
(forbes.com 原文)