K-POPアーティストや人気アニメとコラボ
この店舗が伸びた理由は、トレンドを取り入れた店舗をつくっただけで終わらなかったところにある。カギは、わざわざ足を運びたくなる仕掛けづくりだ。それは、K-POPアーティスト、人気アニメ、インフルエンサーなどとのコラボレーション。2022年7月には、ラフォーレ原宿内でグローバルボイーズグループ「TREASURE」(YG ENTERTAINMENT所属)のポップアップストア開催に合わせて、コラボメニューを発売。メンバーのネームロゴが入ったオリジナルパッケージのクッキーは、大きな反響を得た。
「メンバーのアクスタ(グッズのアクリルスタンド)を持ってきて、お菓子と一緒に撮影するなど、ファンの方に楽しんでいただけました」
ほかにも、アパレル系インフルエンサーのあややん、アニメ「ラブライブ!スーパースター!!」などと幅広くコラボ。コラボ相手の選定基準は「OVGOの理念に共感してくれること」で、積極的に環境保護に関する発信をしているかどうかにはこだわらない。プラントベースフードへのハードルを下げたいという想いからだ。
「Z世代であっても、環境配慮商品だからという理由だけでお店に足を運んでくれる人は少ない。ただ、“なんかかわいい、おしゃれだな”というきっかけが必要なんです。それが実は環境にも良いと知ると、自然と“だったら絶対こちらを選びたい”と思ってくれる世代でもあります。入り口は難しくしないことが大事だと思っています」
実際に、クックパッドによる調査ではヴィーガン食に興味のある人は世代別では20代が11.7%と最も多い。とはいえ、全体の1割ほどと少ないため、ほかの「きっかけ」も必要になる。
クックパッド「新しい食スタイルの実施意向」調査
【調査概要】調査方法:インターネット調査/調査地域:クックパッドメルマガ登録会員/有効回答数:4090s/調査期間:2021年2月1日〜5日
地域ごと、店舗ごとに個性を
現在ovgo Bakerは、ラフォーレ原宿店のほか、第一号店の「ovgo Baker Edo St.」(東京・小伝馬町)をはじめとして、軽井沢、京都、福岡、神保町、東日本橋と、約2年で7店舗に拡大している(小伝馬町はビル工事のため休業中)。溝渕は、地域ごと、店舗ごとに個性をもたせて様々なターゲットを捉えている。例えば小伝馬町はビジネスパーソンが多く朝ごはんやカフェ需要が多い。2023年3月にオープンしたばかりの東日本橋店は、ビジネスパーソンに加えてファミリー層も多いエリアなので、はじめて食事メニューの提供をスタートした。
「売上は、2021年の1年間で、前年に比べて桁がひとつ上がるぐらい増加しました。2022年もとても好調でした」
そんなOVGOの次なる挑戦は、海外への出店だ。
>>第4回 日本発アメリカンクッキーブランドがNYに進出。その勝算は?
【連載】OVGOの軌跡
第1回 三井物産を辞めクッキー屋さんに 「ovgo Baker」はこう誕生した
第2回 日本の飲食店初の「B Corp」 世界基準のクッキーブランドとは
第3回 クッキーブランド「ovgo Baker」原宿店 Z世代が集まる仕掛けとは(本記事)
第4回 日本発アメリカンクッキーブランドがNYに進出。その勝算は?
第5回 日本発「アメリカンクッキー」ブランドの資金調達 投資家は何を評価した?