経済

2023.03.28 17:30

ジャック・マーが教師に「AI活用」呼びかけ、中国の学校で

アリババ創業者のジャック・マー(shutterstock)

中国政府が、長年続いたインターネット業界の規制を緩和する姿勢を見せ始め、起業家を支援するメッセージを発した直後に、アリババ創業者のジャック・マー(58)が1年以上の海外生活を経て、ついに中国本土に帰還した。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は3月27日、240億ドル(約3兆1000億円)の資産を持つ中国で7位の富豪であるマーが、杭州市の学校「杭州雲谷学校」を訪問したことを伝えた。

同校がWeChatで公開した記事によると、彼は教育やChatGPTなどのAI(人工知能)テクノロジーについて関係者と話し合ったという。ちなみに、SCMPはアリババが保有するメディアで、杭州雲谷学校は2017年にマーを含むアリババの創業者らが設立した私立学校だ。

マーは、会話型AIが新たな時代の到来を告げる中、教師や生徒らにAIを使って現実社会の問題解決に取り組むようように呼びかけたとされる。投資家は、このニュースを肯定的に捉え、アリババの香港上場株は27日に4%以上の上昇となった。

マーは、2020年末にアントグループの350億ドルのIPOを中国政府に阻止されて以降に、公の場から姿を消し、世界のさまざまな場所で目撃されてきた。1月に彼は香港に滞在し、友人や金融業界の関係者と面会したと報じられた。

2019年にアリババの会長を退任したマーは、中国政府がハイテク企業の監視を強化し、株式市場から数千億ドルの時価総額を蒸発させる中で、オーストラリアや日本、オランダ、タイなどの国々を訪れ、現地の起業家らと交流を図ってきた。しかし、中国政府のリーダらはここ最近、経済の強化に向けて方針を転換し、起業家に融和的な姿勢を見せ始めている。先日の全国人民代表大会(全人代)で新首相に就任した李強は、民間セクターの起業家らが「より良い事業環境とさらなる発展の機会を与えられる」と述べ、政府関係者に民間企業をサポートするよう呼びかけた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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