マールブルグ病はエボラ出血熱と同じ系統のウイルスが引き起こす感染症。WHOによると、ウイルスはまずオオコウモリからヒトに伝染し、感染者の体液に触れることでヒトの間で感染が広がる。発症は突発的で、高熱や筋肉痛、出血、激しい頭痛、下痢、吐血などの症状が出る。
過去の感染発生での致死率は、ウイルス株や医療の質によって24〜88%と幅がある。承認されたワクチンや治療法はないが、水分補給や特定の症状の治療といった対処療法で予後を改善できる。
感染予防策としては、野生動物の肉を食べたり扱ったりしないことや、食べる場合は完全に火を通すことが推奨されている。また、コウモリが生息している可能性のある洞窟や鉱坑に近づかないよう呼び掛けられている。
赤道ギニアは2月、国内で初めてマールブルグ病の発生を確認。続けて東アフリカのタンザニアでも3月下旬、初めてマールブルグ病が確認され、8人が感染、うち5人が死亡した。
WHOが3月下旬に発表した新たな情報からは、赤道ギニアの感染者数がこれまで考えられていたよりも大幅に多く、感染者が互いから離れた場所にいたことから「ウイルスがより広範に広がっている」ことが示唆された。これまでに死者7人を含む9人の感染が検査で確認されたほか、「感染疑い」患者も20人いる。
WHOは、タンザニアと赤道ギニアでの国内感染拡大リスクは「非常に高い」としているが、世界的な感染拡大のリスクは「低い」とみている。だが、出入国管理が緩い国境を人々が頻繁に行き来していることから、国境を越えた感染拡大のリスクは「排除できない」とした。
タンザニアと赤道ギニアでのマールブルグ病発生が関連しているかどうかは不明。アフリカ疾病対策センターの幹部は英紙テレグラフに、関連性の有無を確認するためにウイルスサンプルの遺伝子配列を調べる予定だと述べている。