日本化粧品の「レシピ流出」リスク 中国でコピー品の可能性

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世界でもトップ3に入ると言われている中国の化粧品市場では、世界各地の名だたるブランドが参入し、しのぎを削っている。その中国市場で、各メーカーは思わぬ“危機”に見舞われている。化粧品の命ともいえる「レシピ」をさらけ出すことが求められているのだ。

今回は巨大な中国化粧品市場と、その新たな規制が及ぼす影響、そして取るべき対応について考えてみたい。

化粧品レシピを明記する法律が登場

なぜ化粧品メーカーがレシピを公開せねばならないのか?それは、中国で「化粧品ラベル管理弁法」と呼ばれる法律が2022年5月から施行され、2023年5月1日までに、製品ラベルの更新を完了する必要があるからだ。

そのポイントを見てみよう。まず「第七条」で化粧品に貼るラベルに記載すべき内容が列記されている。

“化粧品の中国語ラベルには最低でも以下の内容が含まれていなくてはならない。

(一) 製品の中国語名、特殊化粧品登録証番号
(二) 登録者、届出人の名称、住所、登録者または備案者が国外企業である場合、国内責任者の名称、住所も併記
(三) 生産企業の名称、住所
(四) 製品の標準番号
(五) 全成分
(六) 内容量
(七) 使用期限
(八) 使用方法
(九) 必要な注意喚起
(十) 法律法規、および強制国家標準の規定により記載すべきその他の内容”

ラベルに表示すべき内容の5つ目に「全成分」との規定がある。つまり当該化粧品に使われているすべての成分を列記する必要が生じているのだ。

その表示方法は同法第十二条でより具体的に示されている。これを読むと当該化粧品の成分を「全種類」、「その含有量の多い順に記す」ことが定められている。

ただし含有量が0.1%(w/w)に満たない場合は「その他微量成分」として、別途列挙する必要がある。しかし成分名の表記が不要というわけではなく、主要成分とは分けて表記することを述べているにすぎない。

これらの規定を順守すると、メーカー側は商品の中身をすべてさらけ出す必要に迫られるわけである。

法律に従えば各成分の含有量の記載こそ求められていないが、容量や効果などからおおよその見当はつく。さらに言えば、量はともかく、量の順序さえ正しければ、他社でも同じ成分表示の商品が作れてしまうのである。
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