マーケティング

2023.03.31 16:30

日本化粧品の「レシピ流出」リスク 中国でコピー品の可能性

Getty Images

同法が適用されるのは中国国内で生産や販売されたり、海外で生産されたもののうち一般貿易で中国に輸入され流通する商品だ。海外で生産販売し、郵送するというモデルの越境EC商品は適用外となる。「化粧品ラベル管理弁法」で定められているように全成分をラベルに記載する必要はない。
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そのため、日本ブランドとしては越境ECによる販売強化という点で、成分開示のリスクを避けつつ、中国への販売に取り組むことができるだろう。

もう一つが特に最近になって復活が期待されているインバウンド消費だ。

インバウンド消費は日本国内で販売されるため、日本の法律に準拠して行われる。そのため、今回の「全成分表記」の対象外となり、日本語のみでの表記でも問題ない。
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インバウンドに関しては本格的な回復は現時点では発生していないが、日本国内では3月から水際対策が緩和され、その影響で4月以降の日中直行便は各社で大きく増えていく予定となっている。

特に日本ファン(訪日リピーター)の期待が高まっているので、今年中には入国ペースが加速するのではという希望的観測がなされている。

ただ、越境ECやインバウンド消費は「抜け道」であってはならない。

たしかに、ラベル表記の法律の影響を受けることはないが、言わずもがな、メーカーが消費者の信頼を裏切るようなことは起こってはならない。

さらに言えば、中国の消費者はすでに「日本製だから」という理由で商品を購入する時代は過ぎ去った。「企業は安全で良い商品を消費者に提供する」ことは日本だけではなく、中国でも常識となっている。

中国消費者はそうした商品のなかから、内容や効果、自身の状態(肌質、肌悩みなど)が合っているかを確かめて購入する。

中国の消費者が、ラベルにで確認できない、またインバウンドでは外国語表記商品の購買という分、メーカー側はいつでも消費者に対し、商品の効果だけではなく、「なぜその効果をもたらすのか」を明確に説明するコミュニケーションがより重要となる。

冒頭でも書いたように、同法は2023年5月に企業側が完全適応することが求められている。

それにより化粧品業界では、すでに展開済み商品に関してはその対応を進め、今後の進出を計画している商品に関しては、越境ECやインバウンドへのシフトが進むと考えられる。

しかし、越境ECやインバウンドを選択したことで法律の束縛を受けないことに安心するのではなく、その束縛を受けないからこそ、より一層の真摯さをもって中国の消費者と相対していただきたい。

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