「ゆくゆくはすべての人がビジュアルコンテンツを作成するようになり、Canvaを使うことになるだろう。どこまで大きくなれるかはわからない。それが私の答えだ」とパーキンスは当時語っていた。それから約10年が経った今、Canvaの月間ユーザー数は過去6カ月で3500万人増加し、1億2500万人を超えた。
Canvaは、当初グラフィックデザイナー向けのソフトウェアツールだったが、コラボレーションドキュメントやバーチャルホワイトボード、ウェブサイト作成など、チームでの利用に適したより広範なツールへと進化した。そして先日、同社は今話題のAI(人工知能)を搭載した新機能を発表した。
AIでデザインを自動化
Canvaは、3月23日にシドニーでイベントを開催し、100万人規模の視聴者に向けてライブ配信を行った。今回発表されたAI機能には、すべて「Magic」の名前がついている。その中には、画像やスタイルからパーソナライズされたデザインテンプレートを作成できる「Magic Design」や、プロンプトからスライドショー形式のプレゼンテーションを作成できる「Magic Presentation」、コピーライトツールの「Magic Write」などが含まれる。他にも、AIソフトウェアを使って画像内の場所を特定し、数回のクリックで要素を追加・削除したり、他言語に翻訳する機能などがある。パーキンスは、夫のクリフ・オブレヒト、キャメロン・アダムスとともに2012年にCanvaを設立した。オーストラリア発の小さなスタートアップに過ぎなかった同社は、今や世界を代表する企業へと成長し、パーキンスは2019年12月にフォーブスの表紙を飾った。そして、2021年9月には400億ドル(約5.2兆円)の評価額で資金調達を行った(パーキンスとオブレヒトは、個人資産の大部分をCanva財団に寄付する予定だ)。
その後のハイテク株の暴落を受け、同社の現在の評価額は250億ドル程度に下がったが、月間ユーザー数は2倍以上に増えたという。ユーザー数が1000万人に達するのに5年を要したが、過去30日間で同数のユーザーが増えた。年換算した売上高は16億ドルで、2021年の10億ドルから大幅に増加する見込みだ。
新しいツールによって、企業は好みの色やフォントなどを簡単に設定できるようになった。また、ロゴを刷新する場合は、ワンクリックでデザイン全体のロゴをアップデートすることができる。クリエイティブがテンプレートやブランドガイドラインに適合しない場合は、クリエイターに通知してくれる。パーキンスによると、リアルタイムのコラボレーション機能が同社の成長を大きく牽引しており、アメリカン航空やマリオット、セールスフォース、ズームなど企業で600万ものチームがCanvaを使用しているという。