前回同様、日本サッカー協会は変わらずワールドカップベスト8という目標を掲げている。
今更になるが、サッカーは足を使う競技である。手でボールを扱う競技に比べると、ミスがつきもので偶然性が高い。一発勝負では、カタールワールドカップで日本代表が格上のスペイン代表やドイツ代表を破ったようなことは起こりうる。
競技の本質を考慮すれば、「コンスタントにベスト8に入る力をつけて、運のあるときに優勝を目指す」という目標が正統であるとぼくは考える。とはいえ、ベスト8というわかりやすい指標もありだろう。
その意味で、ウルグアイ代表との試合は、ベスト8の壁の前で足踏みしている日本代表の現状を見せつけられた試合でもあった。
「個」の力を見せつけたウルグアイ
先のカタールワールドカップでは、ウルグアイ代表は得失点差によりグループリーグで敗退している。しかし、日本代表よりも確実に力のあるチームだった。今回もウルグアイ代表の1点目は象徴的だった。
スペインのレアル・マドリーでプレーするフェデリコ・バルベルデは、難しい浮き球を巧みに捉え、強烈なシュートを打った。ボールはゴールポストに当たったが、跳ね返りを彼自身がヘディングで決めた。圧倒的な「個」の力だった。
忘れられがちではあるが、カタールワールドカップは開催地の気候を考慮し、時期をずらして行われた。その影響がまだある。
サッカーの中心は発祥地であるイギリス、ドイツ、フランス、スペインなどの欧州である。各国のリーグは9月から始まり、5月に終わる。欧州の人々にとって6月あたりから8月まではバカンスの季節となる。これまでワールドカップはそこに、はめ込まれていた。
またこの時期は1年の区切りでもある。シーズン終了後から次のシーズンが始まるまでが移籍期間となるのだ。監督、選手の「民族大移動」が起きるのだ。
カタールワールドカップでは開催時期をずらしたため、各国の代表チームは「監督」選びで困ることになった。
ワールドカップが終わった後、欧州リーグが再開し、これから大詰めに向かう。この時期に新たな代表チームに「旬」の監督を捕まえることは難しい。森保一監督のように契約更新ならば問題ないが。
しかし、次回のワールドカップを目指す代表チームが監督交代を選んだ場合、韓国代表のようにドイツ人指揮官、ユルゲン・クリンスマンのような無職だった人間に声を掛けるしかない。ちなみに新生のブラジル代表、そして今回キリンカップで来日したウルグアイ代表は、暫定監督だ。