3人の創業メンバーは、シードラウンドでGreylockとAdditionから6500万ドルを調達してから1年弱で「ACT-1」と呼ばれるデモ版を開発した。このツールは当初は、ChatGPTのように簡単な質問に答えるといったタスクを実行していたが、数カ月後にはリンクトインのURLをリクルーティングソフトウェアに取り込むなどの複雑な機能を実行できるようになった。
こうした進歩により、アデプトはマイクロソフトやエヌビディア、アトラシアン、ワークデイなどの戦略投資家から出資を得た。
ACT-1は、グーグルのクロームやセールスフォースなどの既存ソフトウェアの上にオーバーレイ表示される。現状のプロトタイプはデスクトップ用だが、将来的にはモバイル端末でも利用できるようになるという。
コンピュータを操作するAIモデル
コンピュータを操作するAIモデルは、言語モデルに比べて格段に未熟であり、モデルの学習には莫大な費用がかかる。「我々は、まだ最適化フェーズに到達していない。まずは、多くのことができるパワフルなモデルを訓練し、その後、時間をかけてより安く、より小さくする方法を見つけ出したい」とルアンは話す。アデプト以外にも、AnthropicやCohere、OpenAIなどの企業が多額の資金を調達している。特にルアンの元上司であるサム・アルトマンが率いるOpenAIは、競合企業の打倒を目指し、年初にマイクロソフトから100億ドルを調達した。アルトマンと同様に、ルアンも汎用人工知能(AGI)の実現を目指している。
AGIとは、人間の介入なしに自ら判断できる未来的なAIだが2人には、大きな違いもある。それは、ルアンの目指すAGIは、ビジネスに特化したより退屈なもので、これまで同様に人間が画面の前に座ることを想定している。
「我々は、他の企業のように価値ある仕事をAIで置き換えることを考えていない。我々は、すべての人にとって最高のAIチームメイトを作ろうとしているのだ」と彼は語った。
(forbes.com 原文)